ことばが楽しそうに躍動している。おもしろい発想やことばの組み合わせは、ときに突拍子もないが、いやらしさはない。むしろ安心感があるのは、文章が安定しており、淀みがないから。読み進めると次の瞬間、どこだかわからないところに連れて行かれる。飛躍した発想と、安定した文章のあいだにただようほのかな色気。
著者は「イルカも泳ぐわい。」ということばに色気を感じるという。それと同じようなものをこのエッセイ集で味わうことができる。