綿矢りさには,若くして芥川賞を受賞した美人作家というイメージを持っていた。しかし、今は女性監督が映画化したくなる原作者と認識している。この数年、”勝手にふるえてろ””ひらいて”そしてこの”私をくいとめて”が公開された。 女性ならではの視点や感性が共感を生む内容なのだろうと残念ながら性別の異なる私には想像することしかできない、が、作中の女性主人公の生きにくさ≒心の痛みは十分理解できるものであった。この作品においては、個であることによる自由と、他者と共存することによるストレスおよび幸福とのバランス、選択というのがテーマのように思える。”おひとり様”を決め込んで、ある程度月日がたち、気持ち的に落ち着いた身でなければ共感しすぎて怖くなる話だと感じた。