オピニオンリーダー インタビュー

2018.11.27
Vol.002

多摩地域のオピニオンリーダーインタビュー東日本旅客鉄道株式会社執行役員八王子支社長 坂本浩行氏

TEXT BY 石原 靖之

このエリアはまだまだ伸びる可能性がある

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このエリアの観光の可能性をどう捉えていますか?

もともとこのエリアには、週末に、新宿から「ホリデー快速おくたま号・あきがわ号」という列車を走らせていたり、夏には川崎駅から「お座敷青梅 奥多摩号」を走らせたりしてきました。

「お座敷青梅 奥多摩号」

このエリアは、観光資源や素材が豊富にあり、もっと告知をして、場所の宣伝や魅力を伝えていければまだまだ伸びる可能性はあると思っています。

繰り返しになりますが、緑豊かな自然があり、清流があり、カヌーやラフティング、サップなどさまざまな川遊びやスポーツが楽しめる。さらには、霊験あらたかな武蔵御嶽神社のある御岳山や澤乃井で有名な小澤酒造さんもあります。

  • 沢井駅前にある小澤酒造の創業は1702年

清流ガーデン「澤乃井園」ではきき酒や食事が楽しめる

  • 御岳登山鉄道のケーブルカー

  • 頂上から雲海も楽しめる

個人的な話をさせていただくと、最近、御岳山の宿坊に泊まりました。早朝から鳥のさえずりが聞こえましたが、鳥のさえずりで起きるというのはすごく気持ちのいいものですね。都市部からの宿泊の方には新鮮な感動をお約束します。 まだまだ都市部にお住まいの方には、この体験をご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか? しっかり広報や宣伝をして、より多くの方に知っていただくことが大切です。

あとは、時間がかかりますが、秋、冬と観光シーズンを広げて、通年楽しめるエリアにすることも重要だと思います。

  • 多摩川上流エリアは紅葉の名所としても知られる

その意味も含め、当社では、秋以降は、青梅市観光協会や御岳山観光協会等がすすめる「青梅・奥多摩もみじ協定」と連携させていただき、共同でポスター掲示や観光キャラバンを行ったり、「第80回記念奥多摩渓谷駅伝競走大会」の協賛もさせていただきました。また、今まで春号、夏号、秋号と年3回発行してきた情報誌「青梅線・五日市線の旅」の冬号も発行することに決めました。

あせらずじっくり地域の観光資源や
文化、魅力を掘り下げることが大切

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この地域のインバウンド(外国人旅行者の観光)の
可能性はどう思いますか?

青梅線のインバウンドに関してはまだ当社では十分な議論にはいたっていないのが現状です。

ただ、また個人的なことを言わせていただくと、先日、御岳山の宿坊に泊まった時に滝行をやってみたのですが、カナダからお母さんと娘さんの親子で参加されていた方と出会いました。青梅線沿線の自然や文化、さらには滝行のような神事にも興味を持たれる外国人の方がいることを改め再認識しました。うれしく思いました。

青梅線エリアには外国人旅行者も想像以上にたくさんいらしています。インバウンドの可能性としては十分にあると思っています。

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この地域は都市部に近すぎて日帰り旅行者が多く、
宿泊をともなう観光への転換が課題です。
その可能性はどうでしょうか?

将来的には、宿泊をともなう観光へ変わっていく可能性も十分にあると思います。

夕方に、仕事終わりにこの地域にやってきて宿泊。朝早く山に登るスタイルなら相当時間が有効に使えて、ゆったりできる。距離感としては最高の立地ですね。

ただし、急いではいけません。一朝一夕に人気の観光エリアに育つとは思っておりません。1つ1つ取り組みを重ねて、確実に興味を持っていただく旅行者を増やしていくことが大切だと思います。

まずは、この地域に来ていただくことからスタート。そのうえでだんだんお客さまの層を厚くしていき、その中で宿泊施設が増えていくといいなと思っています。

また、1年を通じた観光の流れを作りたいとも思っています。この地域の魅力や生活文化や食、伝統、自然など掘り下げて、冬でもこのエリアに観光に来ていたくためのコンテンツを作り、通年楽しんでいただけるエリアにしていきたいと思っています。

あせらず、地域の方々といっしょになってこの地域をより魅力あるエリアにしていきたい。もう少し具体的にいうと、もとからあるこの地域の魅力を掘り下げて、旅行者のみなさまに、体験していただく機会を増やしていく取り組みを行っていきたいですね。もともとここは魅力のあるエリアなのですから。

今回の「東京アドベンチャーライン」という愛称の命名は、JRとして、そんな取り組みをしていく第一歩だととらえていただくとありがたいですね。

この地をまだ訪れたことのない人は、ぜひ一度足を運んでみてください。まだ、この地に泊まったことにない人は、ぜひ一度泊まってみてください。きっとこのエリアの魅力を体感していただけると思います。

普段の生活もそうですが、遠方の観光地にいかなくても、身近なところに知らない文化や魅力がたくさんあります。そんなエリアが想像以上に近くにあったのかと、驚く人も多いと思います。

地域の方々ともども、みなさまのお越しをお待ちしています。その際はぜひJRでお越しください(笑)。

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東日本旅客鉄道株式会社

詳しくはhttp://www.jreast.co.jp/hachioji/