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10月1日に第5回「オンガタマルシェ」開催!第2回 CREAP株式会社代表 門脇大輔さん
八王子市の西部にある「恩方」は、圏央道の八王子西インターチェンジ近く、交通はバスしかなく、八王子駅から20分、混雑時は40分かかる地域です。世帯数は「上恩方」、「下恩方」、「西寺方」、「小津」地域周辺を入れても6500人ほど。キャンプ場「夕やけ小やけふれあいの里」があるエリアです。
この緑豊かな恩方が近年盛り上がっています。2018年にはじめた「オンガタマルシェ」は2020年に開催した第3回「オンガタマルシェ」で7000人の来場者を集め、2019年には「オンガタ銀座商店会」が誕生。イベントなどさまざまな取り組みを行っています。その牽引者が「恩方」でデザイン事務所「CREAP株式会社」とカフェ&バーの要素も併せ持った雑貨店「CREAP STORE」を経営するデザイナーの門脇大輔さんです。
恩方を「人が繋がり元気なエリア」に
杉並区で生まれ、恩方で小中学校時代を過ごした門脇さんは、中学生になり初めて自転車で八王子の繁華街に行った時、衝撃を受けたといいます。「恩方に何もなかったことに気づき、ショックを受けた」そう。出身地を聞かれて「恩方」と答えると「よく僻地扱いされた」と笑います。
子どものころから図工が好きで、デザイン科のある高校に進学。1940年~60年に流行した「ミッドセンチュリーモダン」といわれる家具や建築物のデザインと出会い、魅了された門脇さんは、そのままデザイナーとなり、大手印刷会社や紙器会社で、紙媒体、パッケージ、紙器、製版などのノウハウを身に付け、営業職も経験。しかし、大きな組織の中での生きにくさや家族ができたことにより、「子どもとのかけがいのない時間を何より優先したい。子どもの成長を見ていきたい」と、2013年に独立しました。
当時は恩方の隣町に住み、都心にある会社まで通っていました。想像以上にデザインの依頼が来て、自宅近くの倉庫を借り、事務所を構え、そこに自分の好きな「ミッドセンチュリー」な雑貨、ヴィンテージやアンティークな商品を集めた雑貨店「CREAP STORE」をオープンしました。このオープンこそが「恩方」が変化する起点になりました。その後、住居も恩方に移します。
2017年に雑貨店「CREAP STORE」をオープン
初期の「CREAP STORE」は古い倉庫を仲間で改装したもの。そこに門脇さんのセレクトした商品のファンや、店内の雰囲気にひかれた人々、地域の方々が訪れるようになります。
「当時は恩方には店が点々とあるものの、個店がつながっていない状態。大型のマルシェなどのイベントを行えばもう少し地域を盛り上げられるのではと思うようになった」と門脇さん。そこで、店に来る人や地域の人を巻き込み、2018年6月に地域の近所の空き地で「オンガタマルシェ」を実施。1500人の来場者がありました。「こんなに地域に人がいるのか」「これだけの人が来るのか…」。これで地域の空気が変わったそうです。
第3回「オンガタマルシェ」には7000人が来場
翌2019年に開催された第3回「オンガタマルシェ」ではタイトルの通り、7000人の来場者がありました。そこには地域の理解や協力、デザイン事務所「CREAP」のブランディングされたデザインがあり、さらにイベントのコンセプトを守り、1軒1軒出店して欲しいショップや雑貨店を口説いてまわったスタッフの努力がありました。
この盛り上がりを持続したい。そんな想いが地域の人々の中にも門脇さんの中にも芽生えました。その流れを受け、門脇さんが関係者に提案したことが、「商店会を作りたい」でした。多くの人が即答で賛同。こうして2019年4月に「オンガタ銀座商店会」が誕生しました
多彩な人が集まる「オンガタ銀座商店会」
この「オンガタ銀座商店会」は少し変わっています。通常、商店会というと商店が主流ですが、この「オンガタ銀座商店会」には、地域に暮らす作家などの所属する作家部、農家が所属する農業部、製造業の方々所属する工業部があります。
地域内の陣馬高原周辺には画家、陶芸家、クラフト作家などが多数住んでいます。また、農地はもちろん、工場も多い地域。そんな人たちが業種を超え、「地域をなんとかしよう」「地域を楽しもう!」「地域に恩返ししたい!」との機運が生まれ、集まったことで、全国的に珍しい多彩な人が集うユニークな「商店会」が生まれました。
「商店会」の理事は現在10名。門脇さんが代表を務めますが、定例会は、役員でない会員も参加でき、自由に発言もできます。「このエリアをこうしたい」「こんな取り組みをしたい」と活発な議論が起こります。門脇さんは「これがいいんです。こういう場がなかったのだから」と笑います。「何かコトを起こしたい人をみんなで担げることが、信頼関係の始まりだ」といいます。
今までにこの商店会では、「五感ロックと篝火」(キャンプイベント)、「お山の暮らし市」「お山でフリマ!」他、「最上級シリーズ」といったテーマを持ったイベントを開催。八王子市からの委託も受け、「八王子水辺活動チャレンジ『ミズカツ』実証実験」などのさまざまなまイベントや取組みなども行っています。
さらに2021年からは、陣馬山の麓にある、東京都のる施設「夕やけ小やけふれあいの里」の園内入り口前にある施設運営も商店会で受託。地域物産を集めた、「地域物産ショップ」にコンセプトを変更し、地域の果物などを使ったスムージーや、地域の名産を使ったマスバーガーなども開発。「オンガタVIEW」(そこから見る恩方の未来の展望の意)の店名で運営し、「夕やけ小やけふれあいの里」のBBQ施設の食材提供やメニュー開発など、それらの手配なども「オンガタVIEW」で行っています。
第5回「オンガタマルシェ」では8000人の来場者を目指す
「オンガタ銀座商店会」の事務所は、門脇さんの店の2階、「CREAP株式会社」の事務所内にあり、事務局はスタッフが代行しています。1階にある雑貨店「CREAP STORE」は、飲食店営業許可と酒販免許を取得し、人が集まれるようにとカフェスペースと、カウンターのあるバースペースを設けられています。
デザイン事務所「CREAP」としては、DMやハガキ、名刺、フライヤー、チラシ、紙器、段ボール箱、横断幕、のぼり旗、包装紙、商品タグ、織りネーム、ワッペン、ステッカー、オリジナルTシャツ、ノベルティグッズなどのデザイン・制作を手掛けています。さらに最近では、店舗のコンセプトづくりから内装デザイン、什器デザインも手掛け、実際、多摩地域で数店舗プロデュースしています。
また、世界シェア第3位のWeb制作ツール「Wix」のパートナー企業として、「Wix」を使ったホームページ制作やWeb開発で「Wix」社と深く関わりながら製品向上に携わっています。
恩方で行われるイベントや取り組みには、随所で、まさにそれらのスキルやノウハウが生かされています。
門脇さんは、「地域のどんなに良いイベントや取り組みもビジネスベースに乗せられないと持続化できません。それが地域活性の大きな課題です」とも語ってくれました。最近まで多くは持ち出しだったそう。「商店会を作ったことでようやくひと息つけそうだ」といいます。
今後については、「うちの商店会はさまざま技術を持った人の集まり。補助金も活用しながら、特産品を作っていきたい。例えば最初は板金加工で切り出した金属。それを叩いて大きなスプーンを製作、お次は土鍋。最終的には恩方で獲れたお野菜をセットにして、恩方満喫ふるさと納税の返礼品を作るとか。個性豊かなお店が恩方地区には増えてきたので恩方の名所をめぐるツアーなども作りたい」とも話します。「CREAP STORE」では未来を見据えたい、様々な人たちがやってきて夜な夜なそんな話で盛り上がっているそうです。
大きなスーパーがあるわけでもない。決して「便利」が揃っているわけでない。しかし、なぜか恩方には人が集まり、最近若い移住者も増えてきているそうです。
2023年10月1日に第5回「オンガタマルシェ」の開催が決まりました。今回の来場者の目標は8000人! 「CREAP」のデザインとセレクトした店、そして地域の人々が生み出す「オンガタマルシェ」へ、ぜひ足を運んでみてください。
CREAP株式会社 代表取締役 オンガタ銀座商店会会長。東京都杉並区生まれ、八王子恩方育ち。高等・専門学校でデザインを学び、大手印刷会社で紙器会社を経て独立。2015年にデザイン会社設立。紙やWEBのデザインの他、イベント、店舗プロデュースなども手掛ける。
第5回「オンガタマルシェ」 概要
日 時/2023年10月1日(雨天は10月8日)10:00~17:00
会 場/小田野中央公園
駐車場/300台(無料)※公共交通機関をご利用でお越しください。
主 催/オンガタマルシェ実行委員会(事務局:CREAP 株式会社内)
デザイン事務所「CREAP」https://www.creap.co/
「CREAP STORE」https://www.creap.store/
「オンガタ銀座商店会」https://www.ongataginza.com/
撮 影/黒田清哉