※本祭りは2021年は開催されません。
東京都心から西へ50Km。山間部、丘陵部そして平野部を持ち、大自然と人の生活が調和する日の出町。その東部に位置する平井地区はJR福生駅からバスで20分程に位置。平井のお祭りが行われる周辺エリアには歴史を感じる見所が多くあります。
元禄時代作の梵鐘が残る東光院。この梵鐘は太平洋戦争時の軍部への供出を逃れた貴重なもので、町指定文化財です。そして東光院境内の小高い丘の上に立つのが韓国風の極彩色の妙見堂七星殿。天武天皇の時代まで遡る歴史があり、5月の妙見祭では韓国舞踊が披露されます。
鳳凰の舞が奉納される春日神社に隣接する常福寺には宝篋印塔が残ります。宝篋印陀羅尼というお経を納めた仏塔で礼拝供養をすれば「極楽往生間違いなし」と伝えられています。
平井川を渡った先にあるのが保泉院。境内の閻魔堂には『平井の閻魔さま』として有名な東京都の指定文化財『木造閻魔王坐像』が納められています。
歩きやすい靴を履いてゆっくり回りたい平井地区です。
9月下旬、平井地区では「平井のお祭り」と称して二つの神社の祭りが行われます。その内の一つ春日神社の祭りでは二つの舞が奉納されます。どこからいつ頃伝わってきたのかなど明らかではありませんが、江戸風の奴の舞と上方風の鳳凰の舞という全国でも珍しい芸能です。
土曜日曜の二日間、花傘万燈を先頭に行列を組んで氏子を回り、数か所で舞いを奉納します。土曜日は夕方から夜にかけて、日曜日は午前11時から夜まで一日かけての道行です。
演舞を行う場所に到着するとまずは奴の舞です。小学生の男児が太鼓を中心に白扇や木刀を使いながら舞います。この時順々に台詞を述べる様子が愛らしく、見る人たちも思わず微笑んでしまいます。
奴の舞の次は鳳凰の舞。金色の鳳凰の冠の5人と赤い頭巾の5人による舞は、中心の太鼓めがけてグッと踏み込んだり姿勢を低くして大きな円を描いたりする全身を使った勇壮な舞です。太鼓と笛を担当するのはかつて舞いを務めたであろう先輩たち。若者を見守りながらお囃子を奏で、地域全体が力を合わせて五穀豊穣と悪疫退散を祈ります。今年(令和3年)はコロナ禍の影響でお祭りは中止とのことです。
写真提供:茂垣貴子
●DATA
[データ]
開催時期/例年9月、下旬頃
※令和3年は中止。
住所/東京都西多摩郡日の出町平井3690
日の出町役場ホームページ/
https://www.town.hinode.tokyo.jp/
アクセス/JR福生駅よりバス約20分、JR武蔵引田駅より徒歩約20分