新しく火を起こして春へと歩み始める星祭

祭り:小平神明宮星祭

開催時期:12月   エリア:東京都小平市

 現在の小平市がある地域はかつては、火山灰が堆積し水利に乏しく人が住まない土地でした。江戸幕府開府により青梅街道が整備され人や物の往来が始まっても村がなく、飲み水もないこの地は難所でした。

 そのような中、江戸の水事情を改善する玉川上水や野火止用水の完成によって水問題が解決できると新田開発が始まります。そして生まれたのが小川村です。

 開発が進み複数の村が合併して小平村が誕生。市によると「この地域が「平」な地形で小川が最初の開拓村であることから、小川の「小」をとって「小平」としたという古老の話が残っている」とのこと。

 明治に入って鉄道が走り学園都市を作る計画が進み、小平町から小平市と変わり、令和3年11月現在19万5千人余が住む街へと成長しました。

 青梅街道沿いに鎮座する小平神明宮の境内には、小平市指定文化財の「小川村開拓碑」があり開拓の由来が刻まれています。

新しく生まれた炎にあたる人たち
神官を先頭に茅の輪くぐり
起こした火をろうそくに移す

 二十四節気の一つの冬至。一年の中で最も昼の時間が短いこの日、小平神明宮では星祭が行われます。冬が本番となり病気にもかかりやすくなる季節であることから、新しい火を起こしてその火にあたって災いを祓い去り「一陽来復(福)」を願います。

 境内に作られた大きな茅の輪を、神官を先頭にしてくぐって神事を行った後、新しい火を起こし、お火焚きへと続きます。この火起こしは原始の時代の人々がやっていたように木の摩擦を使って行ないます。次第に煙が出てきて、それが小さな炎になり、新しい火が誕生します。その火をろうそくに移し木箱に入れて大事に運び、境内のやぐらに点火します。集まった人たちは手をかざしたり背中を暖めたりと、思い思いに火にあたります。

 冬至を過ぎると昼の時間が少しずつ伸びていきます。この日を境に、燃え上がる炎に春を待つ気持ちを重ねながら一年を締めくくります。

ろうそくを木箱で運ぶ神官
春への希望の炎をやぐらへ点火
勢いよく燃える新しい炎

写真提供:茂垣貴子

●DATA
[データ]
開催時期/冬至(2021年は12月22日)
住所/東京都小平市小川町1-2573
ホームページ/ https://kodaira-shinmeigu.jp/
アクセス/西武拝島線「東大和市駅」徒歩18分