伝えられ、受け継がれて現代に生きる三匹獅子舞

祭り:玉の内の風祭獅子舞

開催時期:8月第2土曜  エリア:東京都日の出町・三嶋神社

東京都の西部に位置する日の出町。この「日の出」は町西端の「日の出山」に由来し、日の出の勢いで成長するようにとの願いが込められています。町の花はふじ・さくら、鳥はうぐいす、そして木はもみです。もみは地場産業の卒塔婆の原木であり大変馴染み深い木です。

卒塔婆が作られるようになった始まりは定かではありませんが、元禄の頃からのお話が伝わっています。

お伊勢参りに出かけた大久野に住む一行が、道端で苦しむ僧を介抱しました。その僧から大久野にはもみの木がたくさんあるでしょうから、それを使って卒塔婆を作り、江戸の寺に売り出したらどうですかと勧められました。

その後卒塔婆作りを始める人が増えて日の出町の地場産業へと成長し、その生産量は全国の約6割を占めるようになったとのことです。山間部の豊かな自然を生かした伝統産業です。

獅子を彩るササラ擦りは四人の少女が務めます
堂々とした三嶋神社社殿
鮮やかな万燈を先頭に次の庭場へ出発

JR福生駅からバスで30分ほどの「落合」を降り、落合橋を渡ってすぐ、三嶋神社の鳥居が見えます。大山祇大神と建御名方大神を祀る神社です。何度か火災に見舞われ創建年代不明とのことですが、東京神社庁のホームページにはご神体の神鏡は室町時代のものと記載があります。

この神社が鎮座する日の出町大久野玉の内地区には獅子舞が伝わっています。 「雨乞獅子」とも呼ばれ、かつては雨乞いとして奉納されており、平成2年に町の無形民俗文化財に指定されました。

毎年8月第2土曜日、三嶋神社を含む3つの庭場で一日かけて舞われます。雄獅子2匹、雌獅子1匹からなる三匹獅子舞で、演目は「庭」と言い、7つの庭が演じられます。

庭のいくつかは檜原村など近隣の土地を巡りながら玉の内に伝わったと考えられるようです。その時期は明らかではありませんが、現在使われている獅子頭には弘化四(1847)年と記されています。

なお、令和2年と3年は規模を縮小して開催されました。

令和4年は庭場を限定して開催の予定ですが、新型コロナウィルスの感染拡大状況によっては急な変更があるかもしれません。また、一般の方の見学については未定ですので、神社や保存会の方の指示に従ってください。

おなかにつける太鼓も大事な装束の一つ
躍動感たっぷりに舞う獅子舞
演舞の合間には大団扇で獅子に風を送ります

写真提供:茂垣貴子

●DATA
[データ]
開催時期/毎年8月第2土曜日
住所/東京都西多摩郡日の出町大久野8748
ホームページ/https://www.town.hinode.tokyo.jp/0000000440.html
アクセス/JR福生駅から西東京バス五30系統「武蔵五日市駅」行きにて「落合」下車