国立天文台は、大学共同利用機関として国内外の研究者の共同利用を進めるとともに、共同研究を含む観測・研究・開発を広く推進し、また国際協力の窓口として天文学および関連分野の発展のために活動しています。
前身である東京天文台は、大正3年から13年にかけて麻布飯倉からここ三鷹に移転してきました。緑豊かな樹々に囲まれた静かな構内には、移転当時の面影を残す大正期の建物が点在しています。
この三鷹キャンパスは、開かれた研究施設としてキャンパスの公開や4D2Uドームシアターの定例公開、定例観望会などのイベントを行っており、JR中央線武蔵境駅、京王線調布駅からバスで約15分の場所に位置しています。
日本で継続的に星の観測をするようになったのは、江戸時代後期、幕府天文方の浅草天文台からでした。明治時代になり、文京区本郷の東京大学構内に学生の実測用に天文台が作られ、1888年(明治21年)に東京府麻布区飯倉に東京天文台が作られました。その後、1924年(大正13年)に、天文台は北多磨郡三鷹村大澤へ移転しました。
初期の天文台の主な仕事は、星の観測による経緯度の決定、暦の計算、時間の決定を行うことでした。これは明治時代の国策として始まりましたが、現在も天文台の仕事の一部として続けられています。
重厚な正門から入ると、豊かな緑の中に登録有形文化財に指定された歴史的な施設が点在しています。見学コースは、日本の天文学の黎明期を支えたともいえる、これらの歴史的な施設の見学を中心に設定されています。
見学コースで最初に目に付く建物が第一赤道儀室です。キャンパス内で最も古い観測用建物で、機能性をそのまま形にした姿をしています。
見学コースの奥の方にある子午儀資料館はレプソルド子午儀によって観測が行われていた建物で、1925年に建てられました。レプソルド子午線儀は、国の重要文化財に指定されています。
柱の頭部や入口のひさし部分に、当時流行していたセセッション様式の直線模様が使われており、建物にアクセントを与えています。
子午儀資料館はレプソルド子午儀によって天体が子午線上を通過する時刻を観測していた建物で、1925年に建てられました。レプソルド子午線儀は、国の重要文化財に指定されています。
半円形のドームと台形の入口屋根が印象的な建物がゴーチェ子午環室です。こちらには、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡である子午環が置かれています。2000年頃に観測を終了し、2014年4月に国の登録有形文化財になりました。
建物の入口から中を眺めるだけですが、歴史を感じさせる貴重な機器の姿に魅了されます。
敷地内は樹々に囲まれ、緑豊か。そんな好環境の中を散策しながら宇宙を体験できるのが「太陽系ウォーク」です。
太陽系の広がりを140億分の1に縮めて、各惑星の紹介をしています。例えば、太陽から土星までは14億キロメートル、歩いていくと4万年もかかりますが、140億分の1に縮めたこの展示では、わずか100メートル。数分で到達できます。
もし、あなたの1歩が約50センチメートルなら、土星まではたったの200歩です。でも、その1歩はなんと700万キロメートルにも相当します。各惑星間の距離を体感しながら、それぞれの惑星の特徴を知ることができます。
その他にも、屈折望遠鏡としては日本最大口径を誇る65センチメートル屈折望遠鏡を保持する天文台歴史館や、国立天文台が行っているプロジェクトの紹介やその観測・研究成果を展示する展示室など見どころが豊富に揃います。
生命が存在するのはこの広い宇宙の中で本当に地球だけなのでしょうか? その答えは宇宙の中にこそあるのかもしれません。是非、この緑豊かな地・三鷹で宇宙の旅をお楽しみ下さい。
※本文の内容は平常時のもので、現在は感染症対策のために公開内容を縮小しています。お出かけ前にはWebサイトで必ず最新情報を確認してください。
●●●DATA
国立天文台三鷹キャンパス
住所/〒181-8588 東京都三鷹市大沢2-21-1
電話番号/0422-34-3600(代表)
見学時間/10:00~17:00(入場は16:30まで)
定休日/年末年始
2021/12/03