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この南沢あじさい山をたったお一人で作り上げた伝説の男、南澤忠一さん。地元の方々からは、“ちゅういっちゃん”と親しみを持って呼ばれています。約50年間、たった一人であじさいを植え続けてきました。

ちゅういっちゃん

武蔵五日市駅から北西方向へ約3キロ。あきる野市深沢地区のあじさい橋を渡って少し歩くと「南沢あじさい山」に到着します。毎年、6月中旬~7月上旬にかけてアジサイの花が咲き、林道沿いや山の斜面一帯がブルーやピンクに染まります。その姿はまさに圧巻。静かな山里が華やかに彩られます。

この南沢あじさい山は、地元に住む“ちゅういっちゃん”こと南澤忠一さん所有の山。約50年前、両親が眠るお墓への道に彩りを、と林道に20本ほどアジサイの苗を植えたそうです。それを機に毎年植え続け、たった一人で1万株まで増やし、今では季節になると多くの観光客が訪れるようになりました。2018年の4月には、東京都の地域産業資源のうち、観光資源としても認定されました。

その種類は豊富で、「ダンスパーティー」「墨田の花火」など、珍しい種類のアジサイも。次第にあじさい山の美しさは口コミ等で広がり、今では外国人も訪れる観光名所になりました。花の時期になると、南澤さんは毎朝4時起きで林道の草を刈るなど開園の準備をし、見に来た方々を笑顔で出迎えます。

花期が終わると、重労働の剪定作業が待っています。「翌年もきれいに咲かせるにはどれくらい切り込んだらいいか。それが分かるのは自分だけ」と人任せにせず、こつこつ作業する南澤さん。年齢を感じさせない若さの秘訣は、体を動かしてよく働くことにあるようです。

あじさい

世代を超えて守り継がれる「花咲かじいさんのあじさい山

あじさい山の後継者として名乗りをあげた高水健さんは、あきる野市の企業do-moの代表。do-moはレストラン「do-mo kichen CANVAS」の運営などを通して、あきる野地域の活性化事業を行う企業。あきる野生まれあきる野育ちの高水さんは、「忠一さんが長年守り抜いたストーリーのあるあじさい山を守りたい!」と、事業としてあじさい山を支援、維持することを決意したそうです。

2017年実施のクラウドファウンディングは180万円で達成。苗植えイベントなども行ったこのクラウドファウンディングは、新聞社やテレビ局の取材も多く受け、大盛況に終わりました。

「群生するあじさいはお寺の敷地などに多いですが、お山の自然の中に咲くあじさいを楽しめるのがここの魅力。杉など森の木々と、色とりどりのあじさいが共生している姿は、それはもう圧巻です」と高水さんは話してくれました。

まるで現代の花咲かじいさん。現在では、あきる野市など行政も、ちゅういっちゃんが作り上げたこのあじさい山を観光名所として広くPRしており、オンシーズン(6月・7月)には毎年約1万人のファンが訪れる観光名所になっています。

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〒190-0172 東京都あきる野市深沢368