燃え上がる炎の高さを競い無病息災を祈る

祭り:谷保天満宮 庭燎祭

開催時期:11月   エリア:東京都国立市 谷保天満宮

 国立市を象徴する大学通り。JR国立駅から南へまっすぐに伸びる、幅約44メートルの町のメインストリートです。大学通りという名前は、昭和2年一橋大学がこの地に移転してきたことをきっかけに名付けられ、その後にも高校や大学が建ち並び、その名の通り文教地区の中心となっています

 両脇に桜といちょうが交互に植えられ、季節ごとに道行く人を楽しませる大学通りですが、まだ並木がなかった頃、滑走路として使われていたという伝説があることをご存知でしょうか。大勢の人が見守る中、飛行機が着陸したという話がある一方、開発会社がデモンストレーション用に飛行機を展示していたが離着陸したことはないという証言もあったりで確かなことはわからないそうですが、国立に飛行機が離着陸していたかもしれないとは、なかなか豪快な話しです。

 この大学通りを南に進み、甲州街道に出たところに鎮座するのが、谷保天満宮です。

勢いよく燃え上がるおかがら火
灯りの灯る拝殿。夜の行事ならではの光景です
令和3年は規模を縮小して開催しました。おかがら火にあたる人たち

 毎年11月3日、谷保天満宮では庭燎祭(おかがら火)が行なわれます。

 粗朶(そだ)を組んだ回りに薪を積み重ねた山を2基造り、中央には高く御幣を立てます。

 午後6時、神官が祝詞を上げ御祈祷をした後、いよいよ点火。パチパチと音をたて始めた炎はみるみるうちに燃え上がります。この燃え上がる炎の高さを競いご神木が焼け落ちるのを防ぎ合い無病息災を祈る行事で、この火にあたると風邪をひかないと言われています。

 この行事の由来を調べてみると養和元年(1181)に遡ります。元々祀られていた天神島(府中市本宿)から現在の地に遷座した時、氏子たちが社殿造営で残った木を燃やして天神さまを迎えたとのこと。840年も前から続く行事だというから驚きです。

 天神さまで思い出すのがうそ替神事です。神社で求めたうそ鳥を他の参拝者と交換することで、言ってしまったうそや行ってしまった嫌なことを「吉」に取り換えるとされています。おかがら火に合わせて行われ、谷保天満宮では巫女さんが交換してくださいます。

 昼間は小春日和でも夜になると冷え込むこの時期、おかがら火にあたって暖まりたいですね。

お祓いを終えて、いよいよ点火
パチパチと音をたてながら燃え始めます
うそ鳥。お腹の空洞におみくじが入っています

写真提供:茂垣貴子

●DATA
[データ]
開催時期/例年11月3日
住所/東京都国立市谷保5209
ホームページ/ http://www.yabotenmangu.or.jp/
アクセス/JR谷保駅より徒歩約3分、JR国立駅、京王線府中駅・聖蹟桜ヶ丘駅よりバス約10分