今や少年サッカーは少年野球人口を抜いたと言われるほどで、サッカーは多くの子供たちに親しまれるスポーツになりました。ここ東京都多摩地域でも、小学校の少年団だけでなく、専属コーチが率いる民間クラブチームも多数発足し、少年サッカー界は活況を呈しています。
昭島市で活動しているFC LEGARE(以下FCレガーレ)はU-12の民間サッカークラブです。昭島市で2016年にはじまり、今年で7年目に入りました。チーム活動とスクール活動の両軸で運営しており、幼児クラスから小学生クラスまであります。2022年現在、チーム生、スクール生合わせて、4歳児~小学6年生の子供たちが100人近く在籍しています。
宗像さんは、大学卒業後、一度社会人として企業に就職するも、20代後半に「自分が一番胸を張れる仕事」=サッカーに関わる仕事をしたいとの思いが高まり、サッカーコーチへ転身しました。
ある時、昭島でスクールを開催した際、「昭島周辺には、サッカーをやりたい子は沢山いるのに、本格的な指導者やクラブチームがない」と感じたことをきっかけに「昭島市に本格的なサッカーを教えられる場所を!」との思いで、2016年、32歳の時、昭島の地にFCレガーレを創設しました。
宗像さんは、クラブ立ち上げにあたり、國學院久我山高校時代の元チームメイトで、プロサッカー経験もある高橋さんに声をかけ、2人3脚でのクラブ運営がはじまりました。
「高橋コーチはプロに在籍していたので、サッカーコーチの教科書には載っていない、プロが現場で見たこと学んだことを子供達に教えてくれると思いました。また、高橋コーチは、名古屋で幼児サッカースクールの立ち上げ、運営に携わっていたこともあり、運営や児童への指導経験も豊富でした。高校時代から付き合いのある中で、人柄もとても信頼していましたし、何より子供相手にも100%のエネルギーをもって全力で接する姿勢に一緒にやるならこの人しかいない!という熱い気持ちでオファーしました。」と宗像さん。
高橋さんは、プロでの経験を活かし、個々人への技術的アドバイスだけでなく、試合においてのチーム戦術のアドバイス(オンザボール以外のオフザボールの動き方、チーム全体のポジションのバランスなど)をして、俯瞰的視点からも指導します。
「FCレガーレは『美しく勝つサッカー』を目指しています。美しく勝つとは、一言で言えば『つなぐサッカー』をして勝つことです。個人的に、少年サッカーは『蹴るサッカー』と『つなぐサッカー』に分けられると思っています。『蹴るサッカー』とは、例えば、ディフェンスに身体の大きい選手やキック力のある選手を置き、そこから真ん中の選手を越えていっきに相手DFの裏にロングボールを蹴り、そこにフォワード選手が走ってゴールするというイメージです。いわゆる『カウンター』攻撃がこれに当たります」。
「対して、『つなぐサッカー』とは、真ん中のポジションの選手も含めてパスを繋いでいき、チーム全員でボールを運んで全員でゴールを目指すイメージです。『パスサッカー』や『ポゼッションサッカー』とも称されます。私たちFCレガーレでは『つなぐサッカー』をしながら試合に勝つという高度な目標を掲げています。試合内容はさておき、勝利至上主義になり、試合にただ勝てばいいとは考えていません。なぜなら、子供たちのサッカー人生は小学生だけでは終わらないからです。小学生の間だけ通用するような勝ち方だけ身に着けさせるのではなく、中学生、高校生、大人になっても活かせるような技術を教えたいと思っています」。
このようにFCレガーレでは、小学生に対し“育成”を最重要視しています。将来、選手たちの目指したいサッカー像はそれぞれ分かれていったときに『つなぐサッカー』も1つの選択肢として選べる選手になってほしいとの思いが込められています。
「とはいえ、試合や大会に勝つことは大前提で臨みます。勝つことでひとつ上のカテゴリーに行けたり、闘う相手のレベルが上がることで、選手たちの視座も高くなります。勝ちを目指すからこそいつも以上の力量がフィールド内で発揮されますし、勝ってはじめて見える景色も必ずあると思います。勝利は選手の成長にはかかせない一要素です。全学年、チーム生は、公式大会のブロック大会優勝、中央大会進出を目標としてかかげて日々練習しています。」と、勝って今より一段階上の景色を見ることの大切さを語ってくれました。
「チーム生、スクール生ともに、低学年も年々増えています。チーム生は低学年から土日練習試合や大会などへの参加をしています。FCレガーレの目指すサッカーを低学年から教えるため、低学年にとっては少し難しい要求もあると思いますが、いわゆる団子サッカーをするだけでの時期にはしません」。
2022年度は、選手の中から、2年生2名がJリーグの下部組織に合格しました。FCレガーレでは毎年平均1~2人、Jリーグの下部組織に合格者が出るとのことですが、2年生での合格者ははじめてのことだそうです。
ネクストステージに向かう合格選手に対し、宗像さんは「彼らにチームに残ってほしいという気持ちがないといえばウソになりますが、この先の彼らのサッカー人生において、Jリーグ下部組織で挑戦することは間違いなくプラスになります。更にレベルの高い環境に身を置き、頑張ると決断した選手たちを拍手で送り出したいと思います!また、毎年そのような素晴らしい選手を輩出できるよう、選手に最大限の育成環境を与えられるよう、私たちコーチ陣も日々試行錯誤し成長していきたいです」とあたたかい笑顔を見せてくれました。
宗像さんがどんなときに選手たちに厳しく指導するのか伺いました。
「ボールを受ける気がない消極的なプレーをしていると感じた時には厳しく叱ります。強い相手に怖気づいてしまって、自分にボールが回ってくるのを避けようとしたり、ボールを受ける気持ちが見えなかった時です。試合において一番大事なのは、どんなに強い相手と対峙しても強気でプレーをすることです。同様に、無責任なプレーや選択をしたときも叱ります。ボールを自分が持っていて、敵に囲まれた際、何も考えずにパスなのかシュートなのかわからないけどとりあえずボールを蹴ったときなどです。1プレー1プレー大事にする、1回でも多くボールに触る、1秒でも長くボールを味方ボールにするという気持ちが大事です。とにかく『闘う意志を持つ』ことが、サッカーが上達する第一条件だと考えています」。
「怖がらないでボールを受けるぞ!顔を覗かせろ!」
「ボールに一番触りに行った人が一番うまくなるぞ!」
「その考えで合ってるぞ!自信を持ってプレーしろ!」
練習中はそんなコーチたちの掛け声が響き渡ります。
そんな高みを目指す、FCレガーレの+αの練習の場として、外部コーチに、元U-17、U-12日本代表,、元横浜F・マリノスの阿部祐大朗さんを迎え、シュートに特化したストライカー養成スクールも定期開催しています。
このストライカースクールでは、ゴール前でのボールの受け方、シュート時の軸足の踏み込み方、ボールの芯の捉え方、コースの狙い方、DFをかわしながらゴールを奪う方法など、シュートにまつわる各要素、各シチュエーションごとに指導しています。
阿部さんは、宗像さんとは小学生時代同じ少年チーム、高橋さんとは社会人時代同じチームに所属していました。現在町田市在住ですが、旧友率いるFCレガーレの選手たちのために、はるばる強力な助っ人コーチとして指導しに来てくれています。
阿部さん以外にもコーチ陣も続々と増えています。ヴェルディユース出身、松本山雅FCなどでプロ経験のある尾林(おばやし)陽(よう)介(すけ)コーチ、野澤(のざわ)祐(ひろ)行(ゆき)(JFA公認D級コーチ)、GKコーチなども加わり、運営側の人材も少しずつ増え、拡大の一途をたどるFCレガーレを支えています。
サッカーの話をする時、宗像さんは少年のように瞳を輝かせます。サッカーにおいて一番楽しいと感じるのはどんなときか聞いたところ、「仲間とイメージの共有が出来た瞬間が1番楽しいですね。」と即答。「いてほしいところに仲間が走ってくれてイメージ通りにパスがつながるなど、お互いのイメージが重なった瞬間が堪らなく楽しいです。」と、指導者になったいまも、サッカーにおいて喜びを感じる部分や、プレイヤーとしてもサッカーを楽しむ姿勢は変わりません。
将来的な夢は「FCレガーレのジュニアユース(U-15)やユース(U-18)のへのチーム拡大とホームグラウンドを持つこと」だそうです。着実に地道に目の前の結果を出し続けてきたFCレガーレ。これからも、FCレガーレと宗像さんのサッカー指導者としての挑戦は続きます。
●●●DATA
FC LEGARE
所在地/主に東京都昭島市、立川市
サッカースクール概要
◉月、水曜・立川市内グラウンド・18:00〜20:00 ※駐車場有
◉火、金曜・昭島市内グラウンド・15:30〜16:30(幼児、小学1年生)、16:30〜18:00(小学生)・10月~2月:昭島市内小学校体育館を使用 ※駐車場有
◉木曜・立川市内グラウンド・19:00〜21:00 ※駐車場なし
◉ストライカースクール(阿部コーチ) ※不定期開催(月2程回開催)、主に17:00-19:00立川市錦町フットサルコート(テニスコート)など ※時間場所変動あり
※チーム生は土日祝日も活動あり。主に練習試合、公式大会など。各学年、試合は土日どちらか入れるようにしています。
問い合わせ/080-3592-4617(宗像コーチ)、070-5335-3049(高橋コーチ)
こちらのフォームからも問い合わせ可能です。http://fc-legare.jp/contact
2022/11/24