江戸東京たてもの園は、現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示しています。失われてゆく江戸・東京の風情を季節の移ろいと共に味わうことができ、都立小金井公園内にある野外博物館で、 東京都墨田区横網にある東京都江戸東京博物館の分館です。
数多くの歴史的建造物があり、レトロ感が溢れる園内には見どころがたくさん。タイムスリップしたような感覚を一日中歩き回って楽しめます。
昔の商家・銭湯・旅館などを復元した「下町中通り」は、人々の生活の息吹が臨場感をもって感じられます。通りの奥に鎮座する「子宝湯」には大きな富士山の壁画があり、懐かしいタイルの感触は昔のまま。番台に気のいいおじさんが座っている様子を思い起こさせます。
和風と洋風の良さを共に活かした建築の小出邸、前川國男邸や大川邸など実際に建物の中に入ることができます。シンプルで洗練された造りを眺めると、往時の家主の感覚を味わえます。
また多摩地域の農家の旧家として吉野家も復元されています。屋内には囲炉裏がありお茶を一服頂戴して休ませて頂きたくなります。分厚い茅葺きの屋根は重厚感に圧倒され、日本家屋の奥深さを堪能できます。
明治から昭和の初めにかけて日本の経済界の政治家として重責を担った髙橋是清。是清は、赤坂の丹波篠山藩青山家の中屋敷跡地を購入し、1902年(明治35年)に屋敷を建てました。総栂普請の母屋は、複雑な屋根構成をもっており、また当時としては高価な硝子障子を縁回りに多く用いています。赤坂にあった頃は、主屋のほか3階建ての土蔵や、離れ座敷がある大きな屋敷でした。
1936年(昭和11年)、是清はこの建物の2階で青年将校らの凶弾に倒れました。これが2.26事件です。そして敷地と屋敷はまもなく東京市に寄贈され、敷地は記念公園となりました。主屋部分は是清の眠る多磨霊園に移築され、休憩所として利用されていたため戦禍を逃がれ、後にこの場所に移築されました。
屋敷内から硝子障子越しに眺める庭園は時を越え是清と同じ視線で風情を味わうことができます。
園の正面出入口のビジターセンターは歴史的建造物「光華殿」を改修したものです。ビジターセンター内には導入展示を観覧できる多目的ホールやインフォメーションがあり、関連グッズを販売しているミュージアムショップや資料を閲覧できる図書コーナーもあります。
園内には、武蔵野の伝統の味を伝える手打ちうどんや弁当を食べられるたべもの処「蔵」に加え、デ・ラランデ邸内カフェ「武蔵野茶房」ではテラス席でもコーヒーや軽食を楽しめます。
四季折々の自然が豊かで、広大な敷地の小金井公園の一角にある「江戸東京たてもの園」。ひとたび訪れると、歴史的建造物を通してタイムスリップを楽しめます。
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江戸東京たてもの園
住所/東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)
URL/https://www.tatemonoen.jp/
TEL/042-388-3300(代表)
営業時間/4月~9月:午前9時30分~午後5時30分
10月~3月:午前9時30分~午後4時30分
※入園は閉園時刻の30分前までとなっています。
定休日/毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)と年末年始
※東京都の方針に則り、新型コロナウイルス感染拡大防止のため当面の間、休園。(2022年1月31日現在)
2022/02/03