「赤い三角屋根の旧国立駅舎」は国立市のシンボルとして長い間、多くの市民に親しまれ、愛されてきました。平成18(2006)年にJR中央線の立体高架工事にともなって、旧駅舎が解体されることになりました。
国立市では旧国立駅舎を市指定有形文化財に指定した上で、解体された部材を大切に保管。平成30(2018)年から復元・再築工事が開始され、令和2(2020)年4月、まちの魅力発信拠点という新たな役割を得て、国立に戻ってきました。
国立駅南口の正面より、真っすぐに南北に延びるのが大学通り。そして駅から富士山を正面に見る方角、西へ斜めに延びているのが富士見通り。その反対側、太陽が昇る東方向に斜めに延びているのが旭通りです。
この3本の通りが街の骨格となり、碁盤の目状の道路区画により、計画性に優れた都市景観を形成しています。大学と一体となった賑やかなこの一帯は、今から約100年前は人家もなく雑木林でした。
大正末期頃、西武グループ創業の祖・堤康次郎が経営する箱根土地株式会社(現株式会社プリンスホテル)は、東京商科大学(現一橋大学)と共に、理想の学園都市を目指し開発に着手します。
国立大学町と名付けられた、後の国立学園都市の誕生です。中でも、国立駅舎は街の構造や景観の中心に位置づけられました。
旧国立駅舎は赤い三角屋根に白い壁、ドーマー窓(屋根窓)などを配し、全体としてはイギリスのレッチワースの田園都市住宅風のデザインに浴場窓(半円アーチ窓)がついていました。西側に大きく流れた非対称形の大きな三角屋根が屋根を軽く見せており、大きな庇を設けることで建物全体に安定感を与えています。
駅舎の解体時、正面の庇(ひさし)部分の柱などには古レールが使われていました。現在はそのうちの2本が庇を支える柱に再利用されています。柱をよく見ると古レールの製造年が刻印されています。
旧国立駅舎は、まちの新しいランドマークとして地域の方々はもちろん、ビジターの方にも愛されています。
中に入ってすぐの「広間」は出会いが生まれる“まちのラウンジ”です。多目的のオープンスペースとなっており、待ち合わせや憩い場所として気軽に利用できます。ここでは時折、市民団体や企業などによる企画展示やイベントが開催されます。
また「まち案内所」スペースも備えています。観光スポットのガイドやお土産の購入が可能。スタッフが常駐し、まちの見どころや市内交通の案内もしてくれます。選りすぐりのスイーツやクラフトなどをお土産にいかがでしょうか。
そして最後に「展示室」です。国立の歴史や文化を知る、文化財としての価値を伝えるパネルや模型、映像などの郷土資料を常設展示しています。
この“赤い三角屋根”で待ち合わせをして、国立散策の一歩をここからはじめてみませんか。
●●●DATA
旧国立駅舎
所在地/〒186-0002 国立市東1-1-69
開館時間/平日:広間7:00-22:00/まち案内所・展示室10:00-19:00
休日:広間7:00-22:00/まち案内所・展示室9:00-19:00
※コロナ感染状況により開館時間等の変更あり
休館日/年末年始(12/29~1/3)※清掃等の臨時休館日あり
入館料/無料
電話番号/042-505-6691
URL/https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kyukunitachiekisha_specialsite/
アクセス/JR国立駅南口より出てすぐ
2021/09/13