絵画のジャンルにボタニカルアートというものがあるのをご存知でしょうか?
ボタニカルアートとは、植物学「BOTANY」を語源とし、大航海時代にヨーロッパに世界中から入ってくる珍しい植物の記録や紹介を目的に描かれたものが始まりとされています。絵画作品としての芸術性はもちろん、図鑑や教科書の挿絵などにも用いられる学術画にも分類され、植物の詳細が描かれた絵画をさします。
繊細な表現が行われる作品は、一般絵画としての魅力も持ち、見る人の心に残り、日本植物画倶楽部という団体もあり、展覧会なども開催されています。
今回ご紹介するのは、そんなボタニカルアートの世界で活躍する石川美枝子さん。
石川さんは、武蔵野美術大学を卒業後、ボタニカルアートの世界へ。現在は府中市を拠点に活動し、自らの制作活動のほか、講座を開いています。
繊細な作品を描く技術など難しさもありそうですが、教室では石川さんが丁寧に技術をレクチャーしてくれます。絵画に親しみがある方も初心者の方も、また、植物が好きという方にも、新しい趣味として教室に通ってみてはいかがでしょうか。
そんな石川さんは、小学生の時に図書館で眺めていた図鑑で見つけた「ラフレシア」という熱帯雨林に咲く花に惹かれ、植物に興味を抱きます。後に図鑑用のイラストの仕事に携わり、師となる人たちとの出会いもあり、イラストではなく「作品」を描くことを意識するようになったそうです。そして、生涯のテーマとなる「サクラ」と出会うことになります。
石川さんの描くボタニカルアートは、一般的な花の絵と少し違い、植物学に基づく科学的要素を踏まえて描かれています。たとえば、サクラには500以上の種類があり、それぞれの微細な特徴を観察し、その500種類を主に鉛筆と水彩絵の具で描き分けます。
植物学の観点からすると「サクラという名のサクラはない」と石川さんは言います。
その後、熱帯雨林を訪れる機会が何度もあり、子どもの頃に衝撃を受けた「ラフレシア」を描きます。1年のうちいつ咲くか分からない奇妙なこの植物の絵は石川さんの代表作のひとつとなります。
石川さんは、英国王立キュー植物園や米国ボタニカルアーティスト協会での展覧会にも出品し、英国国王チャールズ三世の私庭Highgrove(ハイグローヴ)に咲く植物の絵を描く作家として招待を受けるなど、世界的に活躍されています。
「ボタニカルアートはとても時間がかかる絵。科学的植物画としての約束事を踏まえた上で、植物に謙虚に向き合うことが大切」と石川さんは言います。
現在、立川市の朝日カルチャーセンターにて月に2回、教室を開いています。
石川さんが教えるクラスでは、基本的な植物画の書き方やそろえる道具など丁寧に基礎から教えてもらえます。その上で、自分がどんな絵を描きたいかをとても大事にしてくれます。
興味が湧いたら、ボタニカルアートの世界に触れてみませんか?
●●●DATA
植物画教室
場所/朝日カルチャーセンター立川教室
日時/第2・第4木曜日 10:15-12:15
URL/https://www.asahiculture.jp/course
石川美枝子さんプロフィール
1973年 武蔵野美術大学デザイン科卒業
2006年 英国王立園芸協会主催アートショー ゴールドメダル受賞
2017年 米国ボタニカルアーティスト協会 ダイアン・ブシェール賞受賞
2022年 シャーリー・シャーウッドアワード第一回受賞者
作品収蔵:英国王立キュー植物園、プリンスオブウエールズ私設庭園用公式図譜作家等
Facebook/https://www.facebook.com/mieko.ishikawa.12
Instagram/https://www.instagram.com/miekoishikawa_botanical/
活動概要/https://gadenet.jp/mieko.ishikawa
2022/10/13