千年以上の歴史をつなぐ花万灯

谷保天満宮例祭

開催時期:例年9月、25日に近い土曜日と日曜日   #夏の歳事   エリア:

※令和3年は神事のみ。

国立はその昔谷保村と呼ばれていて、水田に適した土壌により稲作や農業が盛んな土地でした。谷保天満宮が位置する地域もおそらく水田に囲まれ水路が走る、そのような光景だったのではないでしょうか。実際甲州街道の反対側に出ると天満宮に沿って勢いよく水が流れる水路が通っています。

 谷保天満宮は江戸時代に整備された五街道の一つである甲州街道(国道20号)から石段を下りた所に社殿があります。山や丘の上といった場所にあることが多い神社としては珍しい配置です。天満宮によれば「当時甲州道中と呼ばれていた街道は、田んぼの畦道を使ったような狭い道だったのではないか。それが参勤交代に適した道に整備されていく時に現在のルートに移っていったと考えられる」とのことです。

 菅原道真公の第三子道武公が父親が左遷された際、自身が流された谷保の地に父を祀ったことが始まりの谷保天満宮。ご祭神が学問の神様というところから学業成就を祈る絵馬がたわわに下がります。

力自慢が回すと美しく可憐な姿が見られます
重厚な鳥居を構える天満宮
座牛と絵馬板。たくさんの絵馬が下がっています

 9月の例祭は25日に近い土曜と日曜に行われます。土曜日の宵宮参りには氏子が神社に参集し神事と獅子舞を行い、翌日曜日はいよいよ万灯行列です。

 谷保駅前に十数基の花万灯が集合。竹に紙の花を飾ったバレンが大きな傘のように広がり、持ち手は時代絵や文字の額で飾られています。大きいものは100Kg以上。それを操る浴衣姿の男衆たちは相当の力自慢でしょう。

 正午に出発した行列は、甲州街道を渡り石段を下って境内に到着するまで約2時間の道行。大きく揺れる花万灯は時に優雅に、時に厳かに沿道の人を魅了します。

 境内の土俵で獅子舞が始まりました。ここの獅子頭は重箱獅子と呼ばれ四角い箱を重ねた形。よく見る木彫りの獅子頭とは異なる風貌です。2匹の雄獅子が1匹の雌獅子を巡る恋物語を演じます。小一時間の舞が終わる頃、大万灯の解体が始まります。ぶつけ合ってバラバラになったバレンにはご利益があると言われ、人々は競って持ち帰らんとしていました。

谷保駅前でいくつもの花万灯が出番を待っています
境内から出て石段を下りる花万灯
谷保駅前でいくつもの花万灯が出番を待っています

写真提供:茂垣貴子

●DATA
[データ]
開催時期/例年9月、25日に近い土曜日と日曜日
住所/東京都国立市谷保5209
ホームページ/ http://www.yabotenmangu.or.jp/
アクセス/JR谷保駅より徒歩約3分、JR国立駅、京王線府中駅・聖蹟桜ヶ丘駅よりバス約10分