緑濃き境内に獅子頭が輝く清戸の獅子舞

清戸の獅子舞

開催時期:7月中旬   #夏の歳事   エリア:

多摩地域に多く伝わる三匹獅子舞が清瀬市にも残っています。大獅子・中獅子・女獅子の三匹からなり、起源は明らかではないが八王子の城主の北条氏照が武運長久を祈って奉納したことから始まると伝わっています。

日枝神社の鳥居入り口の椿の木に藁の大蛇が赤い舌を出しています。これは獅子舞奉納の前日に氏子衆が厄除けを願って作り取り付けます。一年経って古くなった大蛇が真新しく生まれ変わる時です。

獅子を導くように歩む山の神
シンボル角が美しい清戸の獅子舞
赤い舌を出して地域を見守る大蛇
場を清める棒使い。棒の当たる音に身が引き締まる 

大獅子は金と赤の長いねじれた角を、中獅子は溝が彫られ途中にくびれのある角を持ち、女獅子は小ぶりで角はなく鼻筋に控えめな三色の飾りがついています。三匹の獅子のあごから下には水引と呼ばれる布が垂れていて大中は白、女は赤です。舞の中でこの水引をふわりと持ち上げるしぐさが見られます。獅子の周りには輪ができて、獅子を励ますように掛け声がかかり、この土地の絆がまた一つ深まります。

令和5年は7月16日(日)夕方から日枝神社、全龍寺、水天宮と場所を変えながら奉納予定です。終了は午後8時半頃とのことです。



□■ 清瀬市の風土記 ~清瀬の「うちおり」~ ■□

「うちおり」を聞いたことはありますか。漢字では「家織り」と書き、その字の通り農家で家族のために織られた衣類のことです。養蚕が盛んだった清瀬市やその周辺地域では農閑期の仕事として機織りが行われていて、出荷できないくず繭や木綿糸など身近な材料を使った織物が「うちおり」です。

明治6年、年貢の金納が始まったことで、養蚕、製糸、機織りの技術を持っていた女性たちが現金収入の担い手になり、重労働を強いられることになりました。ただこの仕事は農村に社会の動きを伝える機会となり、織物の模様など世間の流行を知ることにもつながりました。

現存するうちおりには長着、コート、羽織、半纏、もんぺなどの衣類の他に守り袋、風呂敷、おむつ、足袋といった小物類もあり、大切な材料を無駄にせずに使っていた様子が感じられます。また、決して派手ではありませんが、その柄には凝ったものも多く、女性たちのセンスや美意識が見て取れます。

家族のために心を込めて織られた温もりを伝える「うちおり」です。

扇子で口元を隠すように歌う
獅子を励ますように輪になって掛け声をかける

写真提供:茂垣貴子

●DATA
[データ]
開催時期/7月中旬
住所/東京都清瀬市中清戸2-616
ホームページ/ https://www.city.kiyose.lg.jp/bunkasportskankou/rekishi/saijiki/1002317.html
アクセス/西武池袋線清瀬駅下車徒歩約15分 または清瀬駅北口3番のりば[清64]系統 水天宮前(清瀬市)下車