5月、府中市のケヤキ並木が新緑の季節を迎えます。
正式には「馬場大門のケヤキ並木」と言い、桜通りから甲州街道を渡り大國魂神社まで続く約500mの並木です。
その起源については、源頼義・頼家が奥州征伐の途中に戦勝を祈願し、凱旋時に1000本の苗木を寄付したことや、徳川家康が江戸幕府を開いたことを祝して寄進した馬場に植樹をしたなど諸説あるようです。
現在の最古の木の樹齢は約600年。古木が多いため府中市では並木の保存保護にも力を入れていて、市内の小中学校や都立農業高校と連携し、種を撒いたり、種から育てた苗を植えています。
国の天然記念物に指定されているため、並木の外から種や苗を持ち込むことができず、並木のけやきから落ちた種を使うことが決められているのです。
葉が茂り涼しい木陰を作る並木は通る人々の憩いの場になっています。
大國魂神社の例大祭くらやみ祭は20余の神事・行事が行なわれる大きな祭りです。その始まりは4月30日に品川沖で汐水を汲む「品川海上禊祓式」。ここで汲んだ汐水は祭りの期間中潔斎に使われる大事な水です。
5月に入ると、朝廷に献上する馬の選定に由来する「競馬式」や花万燈を美しく回す万燈大会、22台の山車の行列と続き、5日にいよいよ神輿の渡御です。
午後6時の号砲を合図に8基の神輿が大太鼓に導かれながら次々と出発し、参道から旧甲州街道を通ってお旅所に向かいます。数年前から渡御の順路がケヤキ並木にも入るようになり、並木の緑も祭りを楽しんでいるようです。
重さ1トンにもなる神輿はなかなか前に進みません。お旅所に着く頃には真っ暗です。一時は夜の渡御は危険ということで、午後4時に出発していた時期がありましたが、くらやみ祭の名前に合わせて元に戻したと聞いたことがあります。
翌6日は早朝4時から各町内を回った神輿が神社に戻ります。朝日の中、神輿が連れだって戻ってくる光景は夜の渡御とは別の趣があります。拝殿前で何度も何度も練って今年の祭りは終わりを迎えます。
写真提供:茂垣貴子
●DATA
[データ]
開催時期/5月上旬
住所/東京都府中市宮町3-1
ホームページ/
https://www.ookunitamajinja.or.jp/
アクセス/京王線府中駅より徒歩5分/JR武蔵野線・南武線府中本町駅より徒歩5分