八王子市石川町の里山にひっそりと佇む御嶽神社。9月中旬の祭礼日を迎えて賑わっています。この祭礼で奉納されるのが、石川町龍頭(りゅうとう)の舞です。土曜日曜の二日間、御嶽神社と西蓮寺の二か所で奉納されます。西蓮寺はこの獅子舞が初めて舞われた場所とされている関わりの深い寺院です。
御嶽神社の鳥居脇では矢絣の衣装のササラすりの女性たちが赤い大きな花笠を頭に乗せて準備の最中です。この獅子舞ではササラすりは6人でとても華やかです。境内では少年たちによる棒使いが始まりました。棒が当たる音、かわいいかけ声がこの場を清めます。
ここ数年はコロナ禍のために縮小開催でしたが、「何があろうと舞わなければいけない」と言い伝えられている「藤掛かりの舞い」と「太刀掛かりの舞い」は毎年奉納されてきました。「太刀掛かりの舞い」は剣士と獅子の戦いを演じる緊張の舞です。
最後には謡曲高砂の中の千秋楽を皆で歌い末永い繁栄を祈って終わります。
令和5年は久しぶに本来の形に戻すことができるようで、9月16日(土)、17日(日)の二日間行われる予定です。
■八王子市の風土記 ~「八王子」地名の起源~■
東京都心から西へ約40kmに位置する八王子市。
八王子の地名は八人の王子からきている、ということ、ご存知でしたか。
市のホームページによれば、「八王子」という地名は全国にあり、牛頭天王と8人の王子をまつる信仰の広がりが八王子神社の建立につながり、地域の信仰を集め、地名として定着していったとのこと。八王子市の地名の起源もここにある、と記されています。
その起源とは。後に八王子城となる深沢山山頂で京都から訪れた学僧が修行中に大蛇に巻かれたが、眠った大蛇を静かに起こして退散させました。その様子に感服した牛頭天王と8人の王子が僧にこの地にとどまってほしいと願いました。修行を続けた僧は深沢山の周囲の8つの峰を八王峰とし、八王子信仰が始まりました。
この土地が「八王子」と呼ばれた記録は永禄12年(1569年)の北条氏康の書状が最初で、その後豊臣軍との戦いで八王子城は落城しますが、江戸時代になり宿場が整備され、八王子宿と呼ばれるなど「八王子」が定着していきました。
写真提供:茂垣貴子
●DATA
[データ]
開催時期/9月中旬
住所/東京都八王子市石川町1(御嶽神社)東京都八王子市石川町13(西蓮寺)
ホームページ/
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kankobunka/003/003/006/001/p005216.html
アクセス/西蓮寺、御嶽神社ともに JR中央線「八王子駅」北口から西東京バス「大和田経由宇津木台」行きまたは、「東海大学病院経由宇津木台」行きで、バス停「石川宮下」下車徒歩約5分。