八王子の伝統とともに”福は内”が響く高尾山

高尾山薬王院 節分会追儺式

開催時期:2月3日   #冬の歳事   エリア:

赤い顔に高い鼻、神通力を持つと言われる天狗は、山々を守り人々から畏れ敬われて来た伝説上の生き物です。
高尾山では天狗はご本尊である飯縄大権現の随身として神格化され、全山が天狗信仰の霊山としても知られています。薬王院のホームページには、厳しい修行をする山伏たちの姿が天狗と同一視されることも多いとありました。

高尾山に登ると天狗にまつわるいろいろに出会います。まずは銅像。大天狗像は高い鼻で団扇を持ち、小天狗はカラスのようなくちばしがあり剣を構えて烏天狗とも呼ばれています。お正月の縁起物としては元旦から節分までの限定で天狗うちわが販売されています。

お土産物にも天狗は欠かせないモチーフ。天狗焼きや赤青天狗のイラストてぬぐい、黒い甘納豆には「天狗様のヘソのゴマ」のネーミング、と趣向が凝らされています。大自然の中に天狗の気配が感じられるかもしれません。

八王子芸者さんと車人形が揃って華やかな豆まき
ほら貝の音に導かれて法要が始まる
厳かな空気を漂わせる薬王院浄心門

季節を分ける節分。一年に4回訪れますが、立春前日の節分は最も私たちに根付いているものでしょう。各地の神社仏閣が春を待つ人々で賑わいます。

高尾山薬王院では身上安全、事業繁栄、諸縁吉祥、除災開運を祈願して節分会追儺式が行われ、午前午後を通して6回豆まきがあります。ここの掛け声は「福は内」だけ。そして歳男歳女とともに大本堂の外回廊に登場するのが、八王子芸者さんと八王子車人形のみなさんです。

織物の町として栄えた八王子は人や物の往来が盛んになり、大正時代から戦後まもなくまで中町界隈に花街がありました。その当時の情緒を懐かしむ方たちにより粋な町並みを再現し芸者の置屋もできてその文化を伝えています。
八王子車人形は、江戸時代に考案された芸能で「ろくろ車」と呼ばれる車を納めた箱に腰掛けて操る人形芝居です。令和4年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。

八王子市が誇る文化の担い手により豆まき会場がより華やかになります。令和5年節分にも参加される予定とのことです。

大勢の人が集まる節分会
早春の花、ミツマタが春間近をつたえる
三番叟の衣装を付けて威勢よく豆をまく車人形

写真提供:茂垣貴子

●DATA
[データ]
開催時期/2月3日
住所/東京都八王子市高尾町2390
ホームページ/ https://www.takaosan.or.jp/
アクセス/京王線高尾山口駅より徒歩3分の清滝駅からケーブルカーまたはリフト。下車後徒歩20~30分