地名というのは不思議なもので、音はおなじで表記がいくつかありながら、その言い伝えについて定かではないということが多く、その由来は神秘的なことが多いものです。
現在の国立市役所南側の甲州街道を挟んだ一帯に「千丑」と書いて「ちうし」と読む地域名が残っています。その文字から千匹の牛と解釈し、この一帯が牛の牧場であったという説があります。その一方で江戸時代の書物には「血丑」との記載も見られるとのこと。詳細は不明ですがいろいろ想像が膨らみます。
この地域は昔の谷保村の中心地域の一つとして住居数も多かったそうで、住民が活発に生活していた様子が思い浮かびます。現在この地名を冠しているものに、地域のコミュニティーの場としての「千丑集会所」や谷保産の野菜を使ったイタリアンを提供する地元農家レストラン「千丑茶屋」があります。いずれも古くからの地域の歴史を引き継いでいる様子が頼もしく感じられます。
注連縄や正月飾り、昨年いただいたお札などをお焚き上げするどんど焼き。日本各地で小正月の前後に行なわれますが、その呼び名も左義長や道祖神祭、さいの神などいろいろです。
国立市の谷保天満宮でも毎年成人の日にどんど焼きが行われます。境内にできたやぐらには近隣の人々がお札やだるまを乗せていきます。神官によるお祓いの後に点火されると勢いよく炎が上がり、この火にあたると風邪をひかないと言われ、集まった人々は炎のゆくえを見上げ、新しい年の無病息災を祈ります。成人式を終えた新成人がお参りに来たり、町内会の方々が餅つきをしたりして境内にお正月の雰囲気が満ち溢れます。下火になった火でお団子を焼いている光景も見られます。
天神さまは学問の神様。境内の絵馬掛けには受験生の願いが込められたたくさんの絵馬が掛かります。どんど焼きの炎も応援しているようです。
令和5年も成人の日(1/9)に開催の予定です。
写真提供:茂垣貴子
●DATA
[データ]
開催時期/毎年成人の日
住所/東京都国立市谷保52093
ホームページ/
http://www.yabotenmangu.or.jp/
アクセス/JR谷保駅より徒歩約3分、またはJR国立駅、京王線府中駅・聖蹟桜ヶ丘駅よりバス約10分