大きなしゃもじで豆を煎って節分への準備完了

高幡不動尊金剛寺豆煎り式

開催時期:1月31日   #冬の歳事   エリア:

四国八十八ヶ所の寺院を巡るお遍路。弘法大師が始めたとされ1200年の歴史を誇ります。お寺巡りではありますが、四国に根付く文化と言えましょう。巡礼者はお遍路さんと呼ばれ、とても丁寧に迎えられ、お接待というもてなしの風習も良く知られています。ただ、四国まで行くことが難しい人も多いでしょう。そういう人々のために、四国で巡礼する代わりに八十八ヶ所を設けて巡礼と同じ経験ができたり、一か所に八十八ヶ所の諸仏を安置している所も見かけます。

高幡不動尊金剛寺(以下、高幡不動尊)の裏山に山内八十八ヶ所巡拝路が作られていることをご存知でしょうか。それぞれに弘法大師像がまつられています。お寺のホームページによれば明治四十二年開設ということです。

新緑の頃、あじさいの頃、紅葉に色づく頃、季節ごとに楽しめる約一時間の八十八ヶ所巡りです。

まずは僧侶がしゃもじで豆をかき混ぜます
新春の空に堂々と建つ山門と五重塔
鉄鍋に注ぎ込まれる豆。約30キロを何度かに分けて煎ります

2月に入ると節分、立春と春を待つ空気が漂い始めます。節分と聞くと最近では恵方巻を食べることが勢いを増していますが、豆まきを忘れるわけにはいきません。

日本では立春は一年の始まりとして尊ばれ、その前日の節分は大晦日にあたります。災いをもたらす鬼を追い払う行事が中国から伝わり、日本で大晦日の宮中行事「追儺」となり、室町時代には豆を撒いて鬼を追い出す行事へと発展したようです。

高幡不動尊では毎年1月31日に節分で撒く豆を煎る豆煎り式が行われます。普段は線香を供える香炉に直径1メートル程の鉄鍋を置いて、約30キロの豆を煎ります。僧侶の読経に続いて参拝客が大きなしゃもじを使ってざらざらと豆をかき混ぜます。子どもは僧侶に抱えられながら面白そうに、大人は珍しい体験に興味津々。
豆煎り式を終えると豆撒式の準備も整い、2月3日を待つばかりです。

読経の声が境内に響きます
ふくらみ始めた梅のつぼみが春間近を知らせます
僧侶に抱えられて豆を煎る子どもたち

写真提供:茂垣貴子

●DATA
[データ]
開催時期/1月31日
住所/東京都日野市高幡699
ホームページ/ https://www.takahatafudoson.or.jp/
アクセス/京王線・多摩モノレール高幡不動駅下車徒歩5分