青梅街道は元々成木街道と呼ばれていました。青梅市成木と江戸を結ぶ道だったことからですが、さて成木と江戸、どのような関わりがあったのでしょう。
青梅市は約6割を山地丘陵が占めています。そのいたるところに石灰岩が埋まり、天正年間(1573-1592)から石灰岩を焼いて消石灰を作っていました。時が下って江戸時代に入り、江戸城の改修工事に際し風雨に強く防火壁の役目もし、かつ美しく輝く白壁の材料として消石灰が選ばれました。
天保3年編纂の古文書に、消石灰から作った白土を取り寄せるように幕府が当時この地域を治めていた大久保長安に命じた記述が残っているとのこと。農民たちが供出した馬がこの街道を江戸に向かったのでしょう。
今私たちが目にしている皇居の門や建物のまぶしい白壁もそのルーツに青梅が関わっていたと思うと誇らしさを覚えます。
3月、雛祭りの季節です。古くは人形(ヒトガタ)に穢れを移して流していた人形を、お祓い後にしまってまた来年飾るように変わっていったひな人形。
青梅市の津雲邸では、毎年「雛まつり展」と称して昭和初期から戦後にかけて衆議院議員の職にあった津雲國利氏のコレクションを展示公開しています。最も古いものは「有職雛」と呼ばれる公家の風俗を忠実に縮小した雛人形で、江戸時代後期のものと伝わっています。
その他にも宮中に初めて参内した公家の子女たちに天皇から下賜される「初参人形」や大奥や大名家で珍重された上野七澤屋の雛道具など、國利氏の交流から得られた貴重な品々が展示されています。
特別展「津雲邸 雛まつり展」
開館日 :2月23日(金)~3月31日(日)の金・土・日・祝日
開館時間:午前10時~午後4時
入場料 :大人500円 高校生300円 中学生以下無料
館内の撮影は禁止です。(取材時は許可をいただいて撮影しました)
昭和初期建築の津雲邸。京都の宮大工と青梅の大工、石工、畳職らの手による建築で、欄間の彫りや柱の角を面取りし、そこに漆を塗るなど細部のこだわりも注目どころです。
多摩川から旧青梅街道に向かって登ってきた高台に建つ歴史的建築で拡張高い雛まつりを楽しんでみませんか。
写真提供:茂垣貴子
●DATA
[データ]
開催時期/2月・3月
住所/東京都青梅市住江町72-2
ホームページ/
http://www.tukumo-tei.com/index.html
アクセス/JR青梅線 青梅駅下車 徒歩約6分