谷戸の初夏を彩る
250品種10万本のハナショウブ
【吹上しょうぶ公園(青梅市)】

梅雨の季節。しっとり濡れると艶やかさを増す趣ある花「ハナショウブ」を見に出かけませんか。青梅市の霞丘陵の一角にある吹上しょうぶ公園では5月下旬~6月下旬、約250品種10万本のハナショウブが次々に咲いて、訪れる人の心を和ませてくれます。

ここは勝沼城跡歴史環境保全地域に囲まれた貴重な谷戸地を保全するために青梅市が整備した公園で、広さは約2.1ヘクタール。公園の周りは森になっていて、聞こえるのは鳥のさえずりとカエルや虫の鳴き声だけ。まるで別世界にいるような気分を味わえます。

10万本のハナショウブ
周囲を森に囲まれた初夏の谷戸地に、品種ごとに植えられているハナショウブ

ハナショウブは日本原産の伝統的な園芸植物。江戸時代、特に武士に愛されて様々な改良が加えられ、多くの品種が育成されました。ハナショウブにはいくつもの系統があり、その中核をなすのが江戸中期に葛飾区堀切で栽培改良された「江戸系」で、すっきりと粋な風情の多種多様な花が見られます。江戸系を改良し熊本を中心に鉢植えの室内観賞向けに栽培されてきた「肥後系」は花が大きくボリュームがあります。また、伊勢松坂で育成された「伊勢系」は花がやや小さめで繊細かつ女性的なイメージです。

花がら摘み
花の命はわずか3~4日。次の花を美しく咲かせるには「花がら摘み」が欠かせません

吹上しょうぶ公園の多くの圃場では系統別に植えられ、花名板が付いているので、それぞれの特徴がよく分かります。花しょうぶまつり期間中(2022年は5月28日~6月26日)はガイドボランティアが園内随所で案内をしてくれるので、気軽に声をかけてみてはいかがでしょう。

ハナショウブは花弁の下に新しい花芽ができ、2番花、3番花と繰り返し咲きます。これらを綺麗に咲かせるには、しぼんだ花がらを摘み取る「花がら摘み」が欠かせません。その重要な作業を担うのは、市から育成管理を委託されている青梅市シルバー人材センターの方々。花が終わった後の株分けや植え替え作業、施肥や水管理、除草作業など、美しい花を咲かせるまでには多くの手間と苦労があるそうです。

ハナショウブ
雨に濡れてしっとりとした趣をみせるハナショウブ
ハナショウブ
左から、江戸系の「小町娘」、伊勢系の「朝日空」、肥後系の「桔梗小町」
公園内の池にはスイレンが可憐に咲きます

同公園ではハナショウブだけでなく、初夏にはタチアオイ、キキョウなども見られます。園内の池には鯉が泳ぎ、スイレンが可憐な花を咲かせます。また秋にはヒガンバナ、フジバカマなどが咲き、四季を通じて豊かな自然を楽しめます。

公園の近くには勝沼城跡があり、遊歩道も整備されています。また、20分ほど歩けばツツジで有名な塩船観音寺を訪ねることができ、初夏にはアジサイの花を楽しむことができます。

●DATA
吹上しょうぶ公園 / 2022年吹上花しょうぶまつり」5/28(土)~6/26(日)
住所/東京都青梅市吹上
入園料(まつり期間のみ)/200円、小学生以下無料
駐車場/有 ※まつり期間のみ有料
アクセス/アクセス/JR東青梅駅北口から徒歩約15分、JR河辺駅北口から都営バス「吹上しょうぶ公園入口」下車
ホームページ/https://www.omekanko.gr.jp/feature/iris/

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