真っ赤に燃えるように咲く
約20万本のヒガンバナ(曼殊沙華)
【府中市郷土の森博物館(府中市)ほか】

猛暑から解放されて初秋のさわやかな風が吹き始める頃、田んぼのあぜ道や土手沿いにポツンポツンと咲く真っ赤な花に、思わず目が留まることがあります。

秋のお彼岸の頃に咲く「ヒガンバナ」。別名を「曼殊沙華(まんじゅしゃげ)」とも呼ぶこの花は、何て不思議な形をしているのでしょう。細長い6枚の花びらを付けた花が放射状に集まって、丸い大きな花を付けます。反り返った花びらからは1本のめしべと6本のおしべが長く飛び出しています。また、白い花が咲くヒガンバナもあります。

平右衛門広場に咲く赤と白のヒガンバナ
平右衛門広場では赤と白のヒガンバナが咲きます

「曼殊沙華」とは梵語(古代インドの言葉)で「天上に咲く花」という意味だとか。墓地に咲くことやお彼岸の頃に咲くことなどから、何となく死後の世界を連想させる花でもあります。そのせいか、「幽霊花」とか「死人(しびと)花」と呼ぶ地方もあるそうです。

6枚の花びらを付けた花が放射状に集まる
6枚の花びらを付けた花が放射状に集まって大きな花を咲かせます

ヒガンバナが群生して咲いていると、一輪だけ見た時と印象ががらりと変わります。まるで辺り一面、真っ赤なじゅうたんを敷き詰めたようで、色鮮やかでとてもきれいです。多摩地域にはヒガンバナの群生地がいくつかありますが、今年、注目したいのが府中市郷土の森博物館。

梅の木の根元を赤く染めて咲くヒガンバナ
梅の木の根元を赤く染めて咲くヒガンバナ
田んぼ脇の水路の周りには白いヒガンバナ
田んぼ脇の水路の周りには白いヒガンバナが咲きます

毎年、平右衛門広場などに約1万本が咲くのですが、今年はその規模が何倍にも広がります。昨年から今年にかけて、ヒガンバナの球根約20万球を職員が植えたのです。場所は、大階段上の梅園一帯。今年は梅の木の根元に真っ赤なじゅうたんが広がり、かつてない美しい光景が広がります。

多摩地域では府中市郷土の森博物館のほか、野川公園(小金井市)、多摩川の大正土手(羽村市)、霞丘陵自然公園(青梅市)、広徳寺周辺(あきる野市)などでもヒガンバナの群生が見られます。

羽村市大正土手の桜の木の根元に群生するヒガンバナ
大正土手の桜の木の根元に群生するヒガンバナ(羽村市)

●DATA
府中市郷土の森博物館
住所/東京都府中市南町6-32
入場料/大人300円、中学生以下150円
アクセス/JR南武線・京王線分倍河原駅から郷土の森総合体育館行きバスで「郷土の森正門前」下車。または分倍河原駅、府中本町駅から徒歩約20分
ホームページ/http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/hanagoyomi/index.html

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