真冬の寒さに耐えながら
甘い香りを漂わせて咲くロウバイ
【府中市郷土の森博物館(府中市)】ほか

咲く花の数が一年で最も少なくなる真冬。冷たい風に身を縮こませながら歩いていると、どこからか甘い香りが漂ってくることがあります。辺りを見回すと、細い枝に繊細なロウ細工のような黄色い花を見つけて、心がほっこりします。

この花はロウバイで、江戸時代に中国から伝わった落葉低木。語源は中国名「蠟梅」の音読みからきているという説や、花びらがろう細工のようだから、花の色が蜜蝋に似ているから、など諸説あります。冬枯れの季節に他の植物に先駆けて咲く香りのよいロウバイの花は昔から人々に愛され、生け花や茶花、庭木として利用されています。

花の中心部が赤紫のマンゲツロウバイの花
花の中心部が赤紫のマンゲツロウバイの花
雪をかぶってけなげに咲くソシンロウバイ
雪をかぶってけなげに咲くソシンロウバイ

府中市郷土の森博物館の園内南側に梅園があり、その南端の多摩川を一望する小径沿いに約130本のロウバイが黄色い花を咲かせます。花の中心部が赤紫色をしている「マンゲツロウバイ」が12月中旬頃に咲き出し、園内を甘い香りで包みます。その後、透き通るような黄色一色の「ソシンロウバイ」が1月下旬頃まで咲き誇ります。この「ロウバイの小径」は約180メートルあり、絶好の散策スポット。風のないよく晴れた日は、澄んだ青空を背景にロウバイの花が金色に輝いてとてもきれいです。小径をのんびり歩いて、癒しの時間を楽しんでみませんか。

同園では、気温が氷点下まで下がった真冬の早朝(9時~9時30分頃)に、「氷の花」も見られます。これは、秋口に枝の上部に白い花を咲かせるシソ科の多年草「シモバシラ」が枯れて、茎から吸い上げた水分が凍って白い花のように見える現象です。雨が降った翌日の朝や風がない穏やかな日の朝などによく見られるとか。また、同園では1月下旬になると梅の木の足元にフクジュソウが黄色いかわいい花を咲かせます。

多摩地域では府中市郷土の森博物館のほか、梅の公園(青梅市)、都立小宮公園(八王子市)、御岳山・富士峰園地(青梅市)、京王百草園(日野市)などでもまとまった数のロウバイが見られます。

ロウバイの小径は絶好の散策スポット
ロウバイの小径は絶好の散策スポット
真冬の早朝に見られる「氷の花」
真冬の早朝に見られる「氷の花」
新春を祝うめでたい花「フクジュソウ」。「元日草」とも呼ばれています
新春を祝うめでたい花「フクジュソウ」。「元日草」とも呼ばれています

●DATA
府中市郷土の森博物館
住所/〒183-0026 東京都府中市南町6丁目32
入場料/大人300円 中学生以下150円
アクセス/JR南武線・京王線分倍河原駅から郷土の森総合体育館行きバスで「郷土の森正門前」下車。または分倍河原駅、府中本町駅から徒歩約20分
ホームページ/http://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/hanagoyomi/index.html

※花の時期は気象条件等により前後します。

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