【塩船観音寺(青梅市)】
古刹を華やかに彩る
圧巻のツツジ

 サクラが散り始めると、多摩地域の山や丘陵地ではツツジの花が咲き始めます。花が筒状になっているのが「ツツジ」という名の由来とか。道路端に咲いていたり、庭木として植えられていたりして、身近によく見る花ですが、群生して咲いていると迫力があります。

 多摩地域にはツツジの名所がたくさんありますが、中でも圧巻なのが青梅市の塩船観音寺。すり鉢状の境内を埋め尽くした15品種約1万7000本のツツジが、赤、ピンク、白、薄紫など色鮮やかに咲き誇ります。その360度のパノラマは思わずため息がもれるほどの美しさ。しばし時間を忘れて佇んでしまいます。

すり鉢状の斜面を彩る圧巻のツツジ
遊歩道を登っていくと平和観音像に行き着きます
平和観音像からの眺め

 塩船観音寺は若狭の国の八百比丘尼が大化年間(645~649年)に関東を遍歴した際、千手観音を安置したのが始まりと伝えられる古刹。室町時代末期に建てられた本堂は国の重要文化財に指定されています。山門(仁王門)、阿弥陀堂も国の重要文化財。参道の左右にある大杉は都の天然記念物、と見どころの多いお寺です。毎年5月3日には「柴灯護摩火渡り荒行」が行われ、刀を持った山伏たちが焚いた護摩の上を素足で歩く姿が見られます。

毎年5月3日に行われる火渡り荒行
焚いた護摩の上を素足で歩く
国の重要文化財に指定されている本堂

 花の洪水の中、散策路をたどって斜面を登っていくと、山の上に立つ平和観音像にたどり着きます。ここの見晴らし台からの眺めも絶景。晴れていれば富士山や奥多摩の山々が見渡せます。ここまで来たら観音像の北側にあるフェンスを抜けて、隣接する霞丘陵自然公園を散策しませんか。雑木林の中の散策路はよく整備されていて快適に歩けます。新緑が目にまぶしく、足元にはスミレやチゴユリなど野草の可憐な姿も。花見客で賑わう境内から一転、静かな山歩きが楽しめます。

●DATA
塩船観音寺
住所/東京都青梅市塩船194番地
入山料/大人 300円、小人100円(つつじまつり期間のみ)
駐車場/有 有料
アクセス/JR河辺駅北口から徒歩約35分、またはJR河辺駅北口からバス「塩船観音入口」下車、徒歩10分
ホームページ/http://www.shiofunekannonji.or.jp/index.html

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