真っ赤なシャーレーポピーが
丘の斜面を染めあげる
【国営昭和記念公園(立川市)】

 昭和記念公園の木々がみずみずしい緑色に染まる5月、日本庭園の北側にある「花の丘」は一面、真っ赤な花畑に変わります。180万本ものシャーレーポピーが1ヘクタールもある丘の斜面で赤く咲き誇る様はまさに絶景。ポピー畑に立つと、遠い異国の丘に佇んでいるような気持ちになります。

 シャーレーポピーは南ヨーロッパ原産のケシ科の1年草。「ポピー」は英語で、和名は「雛罌粟(ヒナゲシ)」、フランス語では「コクリコ」というとか。与謝野晶子がフランスへ渡って夫の与謝野鉄幹に再会したときの歌、「ああ皐月 仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟(コクリコ) 我も雛罌粟(コクリコ)」が思い出されます。フランスの皐月の野原に咲いている火の色のように真っ赤なポピー。その花の中に晶子と鉄幹がたたずんでいる姿が目に浮かんできます。

 アグネス・チャンのデビュー曲「ひなげしの花」は、「♪丘の上 ひなげしの花で 占うの あの人の心♪」と歌われますが、シャーレーポピーもシベリア原産のアイスランドポピーも花びらは普通4枚。たった4枚の花びらで占えるのかしら?と、ちょっと気になります。中には八重咲きのポピーもあるようですが。

緑の木々と赤い花のコントラストが美しい
和紙のように薄く、風になびく花びら

 ポピーには「虞美人草(グビジンソウ)」の別名も。「虞」とは、楚の武将「項羽(こうう)」の愛人の名前です。項羽が韓の劉邦(りゅうほう)に敗れて垓下(がいか)に追い詰められた時、死を覚悟した項羽が詠んだ「垓下の歌」に合わせて虞は舞を舞った後、自害したそうです。その墓には翌年夏、この赤い花が咲いたことから、人々はこの花を「虞美人草」と名付けたという言い伝えがあります。

21種類の春の花が次々に咲くブーケガーデンに咲くアイスランドポピー
ブーケガーデンはみんなの原っぱの大ケヤキの南東にあります

 シャーレーポピーは赤い花が多く、一部ピンクや白も見られます。これに対し、アイスランドポピーは黄色やオレンジ色が多く、シャーレーポピーよりも早く咲きます。昭和記念公園では、ブーケガーデン(原っぱ南花壇)やBBQガーデンそばの残堀川沿いで見られます。

●DATA
国営昭和記念公園
住所/東京都立川市緑町3173
公園入園料/大人 450円、65歳以上210円、小中学生無料
駐車場/有(有料)
アクセス/立川口:JR立川駅北口から徒歩約15分、または西立川口:JR西立川駅から徒歩約2分
ホームページ/https://www.showakinen-koen.jp

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