5200余株のバラが香り
豊かに咲き誇る
【神代植物公園(調布市)】

 美しい花は数多くありますが、中でも「バラ」はその華やかな姿や色、気品の高さや香りから「花の女王」と呼ばれています。調布市にある都立神代植物公園の「ばら園」では、5月に春バラ約400種5200株余が、10月に秋バラ約300種5000株余が咲き誇ります。バラ園は都内に数多くありますが、代々木公園は700株、日比谷公園は600株、新宿御苑は500株ほど。ここのバラ園は、都内はもちろん、国内でも有数のバラ園といえるでしょう。

 神代植物公園の「ばら園」の中心はシンメトリック(左右対称)に設計された西洋風の整形式沈床庭園の本園です。噴水のある中央部分が低くなっていて、その周りを花壇が取り巻いています。内側の花壇には背の低い品種が植栽され、外側へ行くほど背の高い品種を植えるといった工夫がされており、たくさんの花が美しく見渡せるようになっています。

園の名前を冠したバラ「‘クイーン・オブ・神代’」
2種類のピンクのバラで覆われた西洋風のあずまや「ガゼボ」
ばら園の西側には熱帯・亜熱帯植物の花が1年中咲き乱れている大温室があります

 バラは19世紀半ば以降、ヨーロッパなどで品種改良が盛んに行われ、膨大な品種が生まれました。同園には、現在ある数多くの品種の元になっている原種のバラや人の手による品種改良がされていない野生のバラ(ノイバラ、モッコウバラなど)を植栽したバラ園もあります。それが本園の北側にある「野生種・オールドローズ園」。130を超える品種のバラを作出した鈴木省三氏がバラの育種・改良のために世界各地から収集した貴重なコレクションから接ぎ穂を譲り受け、接木苗をつくって育てたバラがここに植栽されています。バラの歴史を知ることができる貴重なバラ園です。

 野生種オールドローズ園の隣には、国際ばら新品種コンクールに出品される未発表の新作バラの試作場になっている「国際ばらコンクール花壇」もあります。まだ世に出ていないバラの花が見られるとあって、バラ好きにはたまらないスポットです。

現代バラの記念すべき第1号の「‘ラ・フランス’」。野生種・オールドローズ園で見られます
未発表の新作バラ苗を2年間試作し、その間に審査を行って入賞花を決める「国際ばらコンクール花壇」

 5月中旬~下旬(2022年は5月10日~29日)には「春のバラフェスタ」が開催され、講演会やバラの展示会、バラにちなんだグッズの販売などが行われます。また期間中の土日は朝8時からの早朝開園も。バラは早朝ほど香りが良いそうですので、早起きして出かけてみてはいかがでしょう。

 多摩地域には神代植物公園の他、都立秋留台公園(あきる野市)にも煉瓦と大理石を使用した東欧風のバラ園があり、約110種450株が栽培されています。また、町田市立野津田公園にもバラ園があり、約1400株が香り豊かに咲き誇ります。

●DATA
神代植物公園
住所/東京都調布市深大寺元町5丁目4-7
入園料/入園料/大人 500円、65歳以上 250円、中学生 200円(都内在住・在学者は無料)小学生以下 無料
駐車場/有(有料)
アクセス/京王線調布駅から小田急バス吉祥寺駅または三鷹駅行き「神代植物公園前」下車、または京王バス深大寺行き「神代植物公園」下車、つつじケ丘駅からもバス便あり。JR三鷹駅・吉祥寺駅から小田急バス調布駅北口または深大寺行き「神代植物公園前」下車
ホームページ/http://www.tokyo-park.or.jp/jindai/

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