山の斜面や林道をおおいつくす
1万株のアジサイ
【南沢あじさい山(あきる野市)】

梅雨の季節に似合う花、アジサイの名所はたくさんありますが、林道や山の斜面一帯がアジサイの花でおおいつくされる「南沢あじさい山」(あきる野市)は、他ではなかなか見られない景観です。

この南沢あじさい山は、山の所有者である南澤忠一さんが約50年前、両親が眠るお墓への道を花で明るくしたいと2株のアジサイを植えたのが始まりです。それから南澤さんは一人でコツコツと植え続け、いつしか1万株にも増えて、多くの人が訪れる観光名所になりました。「現代の花咲かじいさん」と親しまれている南澤さんは今年(2022年)、92歳になります。5年前、地元で活性化事業を担う会社が「後継者になって、あじさい山を存続させたい」と手を上げ、南澤さんと共に運営委員会を立ち上げてアジサイの剪定や林道の草刈りなど、山の維持管理に汗を流しています。

入口では「森の妖精ZIZI」が出迎えてくれます
スギ林の中にアジサイが咲き誇ります
道の両側を埋め尽くすように咲くアジサイ。花びらに見える部分は実は葉が変形したガク片で、装飾花と呼ばれています
山道を登っていくと1時間弱で金比羅山(468m)の山頂に着きます

南沢あじさい山は武蔵五日市駅から北西方向に約3㎞。木彫りの人形「森の妖精ZIZI(ジジ)」が道路脇に立っていて、道案内をしてくれます。あじさい山がある深沢地区は三内川に沿った静かな山里ですが、明治時代は自由民権運動が盛んな場所でした。名主だった深沢家の屋敷跡には、「五日市憲法草案」が発見された土蔵が今も残っています。また、この近くには2本の巨樹があり、生命力あふれるその姿を見たら感動せずにはいられません。「山抱きの大樫」は、大きな石灰岩の上に力強く根を張り、太い枝を空に大きく広げている樹齢300年以上の樫の木です。「千年の契り杉」は、分かれた幹が途中でつながって「H」の形で天を目指して伸びている神秘的な巨木です。

山抱きの大樫の近くには「深沢小さな美術館」があります。ここは、NHKで放送された人形劇「プリンプリン物語」の人形美術を手がけた造形作家、友永昭三さんが自らの手で古民家を改修してつくった私設美術館。プリンプリン物語の人形たちや木彫りの少女像などが展示され、おしゃれなカフェもあります。森の妖精ZIZIは友永さんの作品で、ミニサイズのZIZIを買い求めることもできます。

アジサイの一種「紅(くれない)」。装飾花が白からピンク、赤へと変化していくのが特徴
大きな石灰岩を抱え込むように根を張る「山抱きの大樫」。南沢あじさい山から徒歩約15分
圧倒的な存在感を放つ「千年の契り杉」。南沢あじさい山から徒歩約40分

南沢あじさい山の周辺には見どころが多いので、ハイキングを兼ねて一日がかりで訪れるのもおすすめです。

●DATA
住所/東京都あきる野市深沢368
開花期間の入山料/500円、小学生以下 無料
駐車場/無(開山期間中はマイカーを規制)
アクセス/JR武蔵五日市駅から徒歩約40分
2022年6/17~7/3はJR武蔵五日市駅前からシャトルバスを運行。
9時から30分間隔。片道300円。
ホームページ/https://ajisai-yama.com/

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