秋の野原に咲く花の代表といえば「コスモス」。細い茎の先に付けたピンクや白の花びらを秋風に揺らして咲くその姿は可憐でどことなく儚(はかな)げです。叙情豊かで、いかにも日本的なイメージですが、原産地はメキシコ。幕末の頃、ヨーロッパを通じて日本に入ってきたそうです。
「コスモス」という名はギリシャ語で「秩序」「飾り」という意味の「Kosmos」に由来しているそうですが、和名は「秋桜(あきざくら)」。
コスモスの花はピンク色が多く、花びらの形が桜の花びらに似ていることから付けられたのでしょう。細い茎の先に付く花は華奢で、風にゆらゆら揺れて咲く姿は少し弱そうに見えますが、台風などで倒れても、また立ち上がって花を咲かせる力強さを持っています。一見ひ弱そうですが、実は芯が強いのも特徴です。
国営昭和記念公園は全国的にも知られているコスモスの名所。様々な色と種類のコスモスが咲き、その総数は何と約500万本。花畑は4か所あり、最も広い花畑が「花の丘」で、キバナコスモスの一種「レモンブライト」が約400万本も咲き誇ります。黄色いレモン色のコスモスが丘一面に咲くのは全国的にも珍しく、斜面になっているので、広大で立体的な景色が楽しめます。
キバナコスモスはピンクや白の一般的なコスモスよりも開花が早く、例年は9月中旬から見頃になりますが、2022年は生育が遅れていて、満開の花を見るなら9月下旬以降がよさそうです。
「花の丘」のすぐ裏手にあるのが「花の丘北花畑」。早咲き系や秋咲き系のコスモスにキバナコスモスをミックスした花畑で、色とりどりのコスモス約20万本が9月中旬~10月下旬にかけて咲きます。芝生の丘に登れば、「花の丘」と「花の丘北花畑」の両方が見渡せます。
また、「みんなの原っぱ」の西側にある「原っぱ西花畑」では、ピンクや白の代表的なコスモス約30万本が咲きます。2022年は台風14号による強風の影響で倒伏被害に見舞われましたが、今後、倒れた枝が起き上がって10月上旬~中旬には見頃を迎えると期待されます。
こうした3つのコスモス畑に加え、「原っぱ東花畑」は「秋のブーケガーデン」として、各種コスモスのほかにケイトウ、ジニア(百日草)など秋の花約20種類を楽しむことができます。
多摩地域では国営昭和記念公園のほかに都立小金井公園(小金井市など)、都立秋留台公園(あきる野市)などでもコスモスの群生が見られます。
●DATA
国営昭和記念公園
住所/東京都立川市緑町3173
公園入園料/大人 450円、65歳以上210円、小中学生無料
駐車場/有(有料)
アクセス/立川口:JR立川駅北口から徒歩約15分、または西立川口:JR西立川駅から徒歩約2分
ホームページ/https://www.showakinen-koen.jp