水辺の春を彩る満開の桜
【根川緑道(立川市)】

春の訪れとともに花開く「桜(サクラ)」は日本人にとって特別な花と言ってもよいでしょう。暗く寒い冬が過ぎて暖かい光が注ぐようになると人々は「桜はいつ咲くだろう」とソワソワし始めます。そして満開を迎えると、今度は「いつ散ってしまうのだろう」とまた心が騒ぎます。

遊歩道とお花見
遊歩道を歩きながらのんびりとお花見が楽しめます

「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」。これは古今和歌集に収録されている紀友則の歌です。「花」とは、もちろん「桜」。ようやく咲いたと思ったらすぐに散ってしまう桜の花を惜しむ気持ちを詠んだ歌ですが、まさに日本人の心にぴったりの和歌だと思います。

大きく伸びた桜
大きく伸びた桜の枝は今にも水面に届きそう

多摩地域には桜の名所が数多くあります。その中で、澄んだ小川と桜のハーモニーが楽しめるのが延長1.3キロの根川緑道です。水面に届きそうなほど大きく広げた枝にこぼれんばかりに咲く桜花はとても優美な姿を見せてくれます。花びらが散って水面をピンクに染める様もまた風情があります。

お弁当を広げる花見客
川べりに座り、お弁当を広げる花見客たち

かつての根川は河岸段丘の湧水を集めて多摩川に注ぐ河川で、昭和10年に氾濫防止の改修工事が行われた際、土手に桜が植栽されて花見の名所になったそうです。その後、下流部分を残して埋め立てられ、小川や池、遊歩道などが整備されて、散策や水生動植物の観察に最適な緑道公園となりました。古木となった桜並木や崖線部から流れ込む湧水は現状のまま保全され、懐かしい根川の風景をとどめています。

青空に映える満開のソメイヨシノ
青空に映える満開のソメイヨシノ

桜(ソメイヨシノ)は昭和49年に60本、同53年に50本が植えられ、それ以前の桜と併せて現在は約240本が水辺の春を彩ります。根川緑道の西(最上流部)には残堀川が隣接し、残堀川沿いにも桜並木が続いているので、根川緑道と併せて散策するのもお勧めです。

老木
枯れかけても美しく花を咲かせる老木の姿は感動的

多摩地域の桜の名所は他に、都立小金井公園(小金井市)、都立井の頭公園(武蔵野市)、羽村の堰(羽村市)、国営昭和記念公園(立川市・昭島市)、多摩森林科学園(八王子市)、奥多摩湖(奥多摩町)などがあります。

満開の桜
澄んだ小川に映る満開の桜

●DATA
根川緑道(立川公園内)
所在地/東京都立川市柴崎町6丁目
花の時期/3月下旬~4月上旬 ※気象条件等により前後します
入場料/無料
アクセス/多摩モノレール「柴崎体育館駅」から徒歩約1分。JR立川駅南口から徒歩約15分
駐車場/なし
ホームページ/立川公園 | 立川市 (tachikawa.lg.jp)

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