【八王子市】日本で5番目の植物標本の収蔵数を誇る東京都立大学・「牧野標本館」 | イマタマ

【八王子市】日本で5番目の植物標本の収蔵数を誇る東京都立大学・「牧野標本館」

2022/12/20

市民科学者としてあなたの植物標本も後世に残るかも!?

八王子市南大沢にある東京都立大学の施設である「牧野標本館」は、植物の標本を収蔵する研究施設で、植物学者の牧野富太郎博士が長年かけて収集した膨大な標本を中心に、その他、国内外の数々の標本と合わせ約55万点を収蔵しています。

牧野標本館
キャンバス内にある牧野標本館

この標本館は、牧野富太郎博士が初代東京都名誉都民であったことなどを受け、遺族が所有していた牧野博士の未整理の標本を東京都立大学に寄贈したことにより、1958年に設立されました。当時寄贈された標本は、4トントラック10台分にもおよび、1991年に同大学の八王子市への移転に伴い標本館も移転しました。

同大学内には、理学部生命科学植物系統分類学研究室があり、牧野標本館の植物標本を活用しつつ、植物の系統・分類学、生態学、生物地理学や、進化生物学的研究を行っています。

牧野標本館には、本館と別館があり、別館には植物標本を収蔵する標本庫とTMUギャラリーがあります。植物標本は大変壊れやすく慎重に取り扱う必要がありますので、標本庫については、学術研究や教育を目的とした場合を除き、一般の立ち入りは制限されています。

牧野標本館別館・TMUギャラリー
牧野標本館別館・TMUギャラリー

今回は、東京都立大学の理学研究科で牧野標本館を兼務する加藤英寿さんの案内で、牧野標本館を紹介します。

まずは「本館」です。こちらは研究棟で、1階入口のホールが常設の展示室になっています。牧野富太郎博士の植物標本、日本列島の植物相や東京都の植物相などの概要が、パネルと標本による展示で説明されています。ここは、平日の開館時間(9時~17時)はどなたでもご覧頂けます。(ただし、燻蒸作業などで閉館されていることがありますので、ご注意ください。)

続いて、取材時に開催されていた企画展「未来につなぐ植物標本」が行われていた別館内のTMUギャラリーへ。こちらでは牧野博士が作成した標本や、牧野博士にまつわる人々の標本、最新の技術で作成された花の色が残ったままの標本、野菜の標本、植物の変異が分かる標本など、さまざまな植物標本が展示されていました。

企画展
今年の企画展。来年は未定ですがホームページで要チェック
牧野富太郎博士による標本
まさに「標本」。牧野富太郎博士の手によるもの
牧野博士から直接教えを受けた方の標本
牧野博士から直接教えを受けた方の標本
カタクリの標本
最新の技術を用いて、生きていた時の色が残されたカタクリの標本
カラスウリの標本
夜間に開花するカラスウリ。標本で花を観察できる
説明のない標本
植物名の説明なし。何の植物か自分で調べようという解説も面白い
ツクバネウツギの標本
ツクバネウツギの葉の大きさ、花の様子など変異が分かる

ところで皆さんは、押し葉や押し花を作ったことはありますでしょうか。

ここで扱うのは学術的価値のある植物標本ですが、作り方の基本はそれらと同じで、採集した植物を平らになるように丁寧に広げ、新聞紙に挟んで吸水して乾かします。ですが、ここにもうひとつの作業を加えると、自分で作った押し葉や押し花が、学術的価値を持つ「植物標本」になるのです。

そのもうひとつの作業とは、実は、植物標本そのものに加えて、「その植物に関する情報」をきちんと付加することです。そして、その情報はとてもシンプルで「いつ、どこで(採取場所とその環境など)、誰が採取したのか」が記入された「標本ラベル」が必要不可欠です。この標本ラベルが付いていれば、誰でも自分の作った植物標本を研究資料として残せるかもしれないのです。

標本ラベル
学術的価値を決める情報が「標本ラベル」に記載されている

たとえば、同じ場所で同じ植物を様々な季節ごとに採取して標本として残します。すると、どの時期に葉が展開するのか、いつ花が咲いて結実するのかといった植物の成長や季節ごとの変化が記録されます。さらにそれを、何十年、何百年にもわたって継続すれば、地球温暖化や気候変動などの影響も分かる資料となるそうです。

今では、標本植物からDNAを抽出して遺伝情報を調べることも可能になりました。植物はひとつひとつの個体が違うので、標本はどれだけ数があってもいいそうです。「人間も同じですよね。成長し、それぞれの個性があり、ひとりひとり違うのは、人間も植物も同じです。」と加藤さん。

また、実際には100年前のアマチュアの方の標本も保管されていて、研究に役立っているそうです。だからこそ、植物標本の楽しさや可能性を、ひとりでも多くの方に知ってもらえたらという思いと、「植物標本は、それが採取された過去の環境を知る手がかりにもなり、その経過をたどることで未来の予測に繋がることもあるのです。」と、最後に加藤さんがお話ししてくださいました。

植物標本は、人と自然の関わりなどとても多くのことを私たちに伝えてくれています。植物標本を見る機会があったら、自分が住む地域のことや自然、過去や現在、未来など、植物標本を通して想いをはせてみてはいかがでしょう?

DATA

施設名 東京都立大学・牧野標本館
住所東京都八王子市南大沢1-1 ※東京都立大学キャンパス内にあります。
公式サイトhttps://www.biol.se.tmu.ac.jp/herbarium/
アクセス京王相模原線 南大沢駅南口下車 徒歩約10分

※最新の情報は公式サイトをご確認ください。



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