養沢の風景を支えているのは、ヤマトタケルが飲んだ伝説がある養沢川を流れる水、川の至るところに転がる大きな岩、そして岩に長い年月をかけて生息するさまざまな種類の苔など。自然の中でたっぷりと息を吸って身も心も芯からリラックスできる「大人な時間」をこの秋、養沢で過ごしてみませんか。
「神谷」バス停を降り、川沿いの道を進み、山道を登っていくこと30分。登りきった先に待っているのは、日々の疲れを癒してくれる極上のグランピング施設です。目の前に見えるのは、山の斜面に突き出るように建てられた大きなテント。東京都心部から1時間ほどの場所に、ゆったりとした時間の流れと圧巻の景観が揃った「非日常的な空間」が待っています。
山の斜面に突き出るように建てられた大きなテント
「WOODLAND BOTHY」とは森林の中にある小屋という意味で、日常のストレスから避難してリラックスして過ごせる場所。1日1組限定だから実現できる、大人なプライベート空間です。
今年6月にオープンしたグランピング施設がある場所は、建てる前はほぼ手付かずの状態で、過疎化が進む地域で人は減り空き家は増えていきます。色々な可能性を考えてみた末にグランピング施設を作ることに決めたきっかけは、「まず、こういう場所で生活できたらいいなという想いから」と加藤太郎さんは言います。
実際に手入れをしてみると見晴らしの良い地形であることがわかり、大胆に自分達でチェーンソーを使って木々を伐採し、その杉の木を活用して完成したのが見晴らしの良いウッドデッキとテラスです。デザインも自分達で手がけ、既製品をそろえるのではなくフルオーダーにこだわったそうです。
開放的なデッキでは自然の景色と共に食事を楽しめる
前菜の盛り合わせ
シェフが1組のために丁寧に食材を仕込んで振る舞う食事は、秋川和牛や地元で採れた新鮮な野菜など、厳選された旬の食材を使った料理など。ランチコースには、山を下った所に住むご家族から提供された野菜や、なめこ、椎茸、青柚子など、季節の香りを堪能できる料理が並びます。
季節の食材を使ったグリル料理
大型のコットンテントには、ゆったりくつろげるイスとテーブルがあるリビング、キングサイズのベッドが2台、そしてトイレとシャワーが用意されています。
グランピングの人気の理由の一つは、キャンプ初心者でも初級編のような感覚で楽しむことができること。そもそも何をしたら良いのかもよく分からない、何を持って行って何を用意したら良いのかも不安だし、何を食べたら良いのかもよく分かっていないという人でも、気軽に自然体験ができるのです。天気の良い日には、デッキに出て森林浴をしながら食事を楽しむラクジュアリーな週末はいかがでしょうか。
別棟には貸し切りで入れる大きな風呂があり、窓を開けて山を見下ろせば露天風呂のような眺めに癒されることでしょう。一日の終わりに家族で入る楽しい時間、一人でゆっくり入る朝風呂など、杉の林に囲まれた大風呂ではそれぞれのくつろぎの時間が満喫できます。
大自然の中でタイムスリップしたような昔の暮らしを体験
敷地内にある100年以上の歴史を持つ古民家を修繕した「大峰」では縁側でバ―ベキューを楽しむことができ、グランピングとは違った魅力を堪能できます。30年程前は民宿として人々を迎え入れていたこの古民家では、大広間に布団を並べて大勢で宿泊するなど昔ながらの生活を味わうことができます。やすらぎを与える畳の心地よさと山々の景色を眺めながらくつろげる縁側は、海外から訪れる観光客にも魅力的ではないでしょうか。
食材はもちろん飲み物も付いているので大人数でも気軽に楽しめる
国産和牛や地元野菜など厳選した食材を使ったバ―ベキュー
障子を開けると、季節によって変わっていく山々の色が見える
古き良き日本の生活を感じられる
今年スタートしたWOODLAND BOTHYでは、今後さまざまな新しい企画が起きそうです。すりばち状の地形が広がるテラスの先にスクリーンを設置して上映すれば屋外シアターにもなり、また、山の木々を生かしてツリーハウスを作るという可能性もあるかもしれません。まだまだ面白いことが秘められ、まさに穴場というべき隠れ家のように佇むWOODLAND BOTHYでは、重装備でなくても手ぶらで、グランピングを身近に感じることができる施設です。大自然の美味しい空気を味わいながらゆったりとした時間を親しい人と過ごしてみては。
雨の日でもバ―ベキューを楽しめるスペース
縁側でゆったりくつろぐひととき
WOODLAND BOTHY 代表 加藤太郎さん「大自然の美しさと静けさの中でゆったりした時間を過ごせる秘境の空間です」
テント(2~4名)1人あたり1泊2食付30,000円〜 トイレ・シャワー併設(完全予約制)
/古民家大峰(2~10名)〉1人あたり1泊BBQ・朝食付13,000円〜(完全予約制)
JR武蔵五日市駅から上養沢行きバス「神谷」バス停下車 徒歩約30分
☎042-596-6645
養沢を訪れる人の視界にまず入って来るのは、清流に佇むコケむす大岩たち。「養沢だけで60種類のコケが確認されていておそらく100種類はあるでしょう」と話すのは、あきる野市で観光の仕事に関わる傍ら、養沢地域の地域活性化や苔の魅力を日々発信している、モカドコスの高橋和加さん。養沢の水とコケを活用するフリースペースとしてオープンした「養沢苔庵coquea」では、養沢らしさと癒しを体験できるイベントを企画しています。
コーヒーをより身近に感じることができる「珈琲豆焙煎ワークショップ」では、ガスコンロで豆を自分で焙煎し、豆をローストする段階から体験することができます。養沢の澄んだ水で淹れたコーヒーと一緒に、ランチやお菓子を楽しめるスタイルで開催することもあるのだそうです。また、9月にオープンしたばかりのカフェは、月火水のほかイベント開催時も営業しています。
大人から子供まで楽しめる、様々なワークショップが体験できます
「モスアリウム(コケのテラリウム)づくりワークショップ」では、お部屋や玄関などに飾って苔ならではの風情と癒しを気軽に楽しめるテラリウムを作ります。どんな場所にでも飾れる手のひらサイズの作品なので、蓋付きのガラス容器に養沢のコケと一緒に石や砂を入れれば、養沢の苔をいつでも身近に感じることができます。コケが生きていくのに必要なのは、水と二酸化炭素と太陽の光(光合成)のみ。きれいな水が何よりも肝心なので、養沢を流れる澄んだ水は美しいコケが育つのに大きな役割を果たしているのですね。
山と川がある養沢では、コケを見に行ったり探しに出かけたりすることで、川のせせらぎが聞こえたり、静けさに心が落ち着いたり、また別のものに出逢える喜びがあります。「苔をはじめとした養沢エリアの美しい自然の景観は、養沢活性化委員会など地元の団体や人々による努力によって守られ、残っているのです」と話す高橋さんは、養沢やコケのファンが増えていったら嬉しいという想いで活動を続けています。
株式会社mokadocos 取締役 高橋和加さん「コーヒー豆焙煎ワークショップでは自分で生豆を焙煎して養沢の美味しい水で淹れたコーヒーを味わえます」
カフェ営業 月火水 ワークショップは土日不定期開催(珈琲焙煎2,500円5名〜、モスアリウムづくり2,200円、苔ウォーキングつきモスアリウムづくり3,000円、スケジュール・予約はwebから)
☎070-4131-1076
URL:
http://mokadocos.com/
入口で出迎えてくれるのは、看板に描かれた切り絵の猫。隠れ家的なお店の中に入ると、オーナーの鈴木敦さんの趣味である山歩きやサイクリングの書籍や雑誌が置いてあり、ゆったりとした時間が流れています。注文をした後、店内のいたるところに飾られた猫のオブジェを眺めて待つのも楽しいひとときです。
猫のオブジェ
山歩きの書籍
「国産の紅茶にも力を入れてみよう」と鈴木さんが特にこだわる国産紅茶も絶品で、「四万十紅」(高知) は清流四万十川を思わせるあまり渋みのないマイルドな味わいです。このお茶は四万十川上流ののどかな山里で丁寧に作られており、鈴木さんは今年の冬に産地を訪ねて、作っている方のお話を聞いたり自然豊かな中で茶葉が育てられている様子を見て来たりしたそうです。
もう一つのおすすめは昨年2月からメニューに加わった、長崎県対馬の「対馬山猫紅茶」。野生のツシマヤマネコが生息する土地で作られた華やかな香りと豊かな味わいのお茶です。2種類の国産紅茶は、どちらもポットでのご用意なのでたっぷりいただけるのが嬉しいですね。それぞれお持ち帰り用に茶葉やティーバッグも店内で販売しています。「四万十紅」のパッケージは、入口の看板の切り絵を手がけた、猫や動植物の作品を作る切り絵作家・松風直美さんによるデザインです。
また、秋から冬にかけての時期は、英国風ミルクティ、インド風ミルクティ(チャイ)もおすすめです。
「対馬山猫紅茶」と「四万十紅」
日本紅茶協会認定「おいしい紅茶の店」
優しい味わいで人気のチリコンカンライス
雑穀米を使ったヘルシーなランチセットは、サラダ・スープ・ドリンクが950円。ミネラル分が豊富な有機栽培のひよこ豆を使用したキーマカレーは、女性にも優しい丁寧な味付けで、赤インゲン豆が入ったチリコンカンライスは辛さ控えめながらもチリスパイスの香りを楽しめます。
こだわりの紅茶と一緒に、自家製ケーキが楽しめます
のんびりマイペースで山猫亭をきりもりしている鈴木さんは、「山猫亭のメニューは、シンプルなものが多いですね」と言います。ティータイムには、季節に合わせたソースをかけたチーズケーキ、えごまのプチプチとした食感が楽しめるあんずとえごまのケーキの他、モンブランやかぼちゃのケーキなど秋にぴったりなケーキを味わえます。
鈴木さんがお店を始めたのは、旅の途中にこの場所で休みながらこの辺りの情報や話を聞けて、お出かけの行き帰りに立ち寄ってほっと一息つける場所を、という想いがきっかけだったそうです。お店の名前にも込められている山と猫をこよなく愛す鈴木さんの想いが感じられ、ゆったりとした時間が流れる喫茶店に足を運んでみては。
「ひのきのその 黒ごまきなこクッキー」
「山猫クッキー」
山猫亭 オーナー 鈴木敦さん「季節によって変わるケーキやお勧めの国産紅茶をお楽しみください」
各種情報はホームページやSNSでお知らせしています。
HP:
https://cafe-yamanekotei.jimdo.com/
Facebook:
https://www.facebook.com/cafeyamanekotei/
ランチセット(チリコンカンライス、キーマカレー)各950円 自家製ケーキ350円、モンブラン380円
JR武蔵五日市駅から徒歩約1分 11:00~19:00(ランチタイム11:30〜14:00)火曜定休・水曜不定休
☎042-596-6321
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