こんにちは、特派員中村あきこです。これまで約3年間、多摩地域の飲食店の紹介記事を書いてきましたが、今回から署名原稿で、注目の店を紹介する記事を書くことになりました。どうぞよろしくお願いします。
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まずは自己紹介をさせてください。私は日本とフランスでフランス料理を学び、都心にあるフランス料理店で働いてきました。ワインソムリエや幼児食アドバイザーの資格を持つ2児の母親。最近ではソムリエの資格を活かしながら近くの飲食店を手伝ったりもしています。多摩地域の「食」シーンを盛り上げるために、これから多摩地域の気になる店を紹介していきますので、応援をよろしくお願いします。
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さて、第1回目は、「ノイ・フランク」さんの紹介です。国立で40年も愛され続けている、手作りハムとソーセージの店「ノイ・フランク」という店をご存じでしょうか? 国立の「天下市」という秋のお祭りでも『焼きソーセージ』が大人気となるお店です。行きつけの料理店のご主人からもこのお店の情報を聞いていたので、噂の焼きソーセージを買いに出かけてみました。
かつて南口にお店があった頃は、作りたてのソーセージなどをその場で食べることができるビアレストランを併設していましたが、ビルの建て壊し工事により2023年4月に北口に移転し、リニューアルオープンしました。
以前のようなイートインがなくなってしまったのは少し残念ですが、最近では、週末にレバーペーストと焼き豚を挟んだバインミーサンドとビールやワインの販売があるので、入り口付近のベンチで食べることができます。
広々としたスタイリッシュな空間は、まるでヨーロッパのデリカテッセンかフランスの高級シャルキュトリーのよう。私は若い頃、フランスでフランス料理の修行をしていた時期があるので、一瞬心躍ってしまいました。
幅広く明るいショーケースにずらりと美しく並べられた種類豊富なハムやソーセージは、どれも魅力的で1つ1つじっくりと眺めていると、ワインが大好きな私は、「これはあのワインに合いそうだ。あれはシャンパーニュに…」などと晩酌の妄想が次々に膨らみます。
ショーケースの上段にはロースハムや熟成サラミ、手作りコンビーフ、スモークレバーにベーコンが並ぶ。下段には創業当初から人気のウインナーをはじめ、チーズ入りのフランクやスパニッシュソーセージ、そして噂の「焼きソーセージ」も並んでいました。
ショーケースの中の商品の数々にすっかり目を奪われていて、ふと気がつくと周りでスタッフと楽しげに話す常連客の声。また商品について尋ねていた初来店であろう若いカップルに笑顔で丁寧な説明をするスタッフ。活気のある雰囲気と気持ちの良い接客、空間が印象的でした。
世界で作られるソーセージ
ハム・ベーコン・ソーセージといっても多種多様。世界には実にさまざまなソーセージがあり、製法や味や香り、歯ごたえもまったく変わります。
ソーセージは、ドイツでは「Wurst(ヴルスト)」、フランスでは「Saucisse(ソーシッス)」、イタリアやスペインでは「Salchicha(サルシッチャ)」と呼ばれます。「ケーシング」と言われる食べられる細い袋状の羊の腸などに、鳥獣類の挽き肉や脂などを塩やスパイスなどで味付けして詰めた、いわゆる「腸詰め」がソーセージとされています。
また、ソーセージという総称の中には、ドイツの「フランクフルト」や「ウインナー」など地方名を冠したものや、イタリアやスペインが発祥の「サラミ」や「チョリソー」と呼ばれる個性的なタイプがあります。諸説ありますが、その起源は、ヨーロッパではギリシャ時代とも言われ、古くから保存食として普及していました
国産豚・塩・製法にこだわった「伝統の味」
「ノイ・フランク」が開業した1980年までは、日本ではソーセージといえば、赤いソーセージに代表されるような添加物や保存料が多く使われる大量生産のものが一般的な時代。ドイツの伝統的な製法で作られたハムやソーセージを手作りで販売する店は珍しく、そこへ「安心して食べられるものを提供したい」「出来立ての新鮮なおいしさを味わってほしい」と生まれたのが『ノイ・フランク』でした。
賞味期限が「ウインナーで製造から約2週間」とやや短めですが、「添加物」や「保存料」をなるべく使わず、「国産の豚肉」やこだわりの「塩」を使って、1つ1つ丁寧に「手作り」。そして出来立ての「新鮮」なものを提供する。そんなノイ・フランクは創業当初からファンがついたといいます。
現在、先代の味を引き継ぐ2代目代表取締役の一居明夫さんに「ノイ・フランク」さんの代表的なソーセージと「おいしい食べ方」を伺ってみました。
「ノイ・フランク」のおいしい食べ方①
<ソーセージ編>
ノイ・フランクの創業当初から定番商品の「ウインナー」(470円/100g)は、肉を細かく挽き、きめ細やかでなめらかな食感を与える絹挽きソーセージの代表格。小さな子供でも食べやすい柔らかな食感と繊細な味わいが特徴です。
ソーセージのおいしい食べ方は、やはり「ボイル」することです。実はソーセージは火を通さなくても食べられまずが、「ボイル」することで歯ごたえや香りも増し、肉の脂が溶けて旨みが増します。ただし、茹ですぎは禁物。「グツグツといつまでも茹でていると中の脂や旨みが溶け出して、せっかくの美味しさがなくなってします。
一居代表は
「沸騰したお湯の中にウインナーを投入したら火を止めて待つことがおいしく召し上がっていただくポイントです。待つこと約5分。たったこれだけ、プリッとした食感と滑らかな舌触りが楽しめます」と教えてくれました。
実際に家でやって試食してみたところ、プリッとした食感と滑らかな舌触りに加え、シンプルな味付けの中で際立つ肉の旨みがなんともいえず、思わず「うまっ!」と声をあげていました。同時に隣でウインナーを口にした夫も我が子たちも「うまっ!」と言葉を発し、皆で大笑いしました。
「飽きのこない優しい美味しさとはこのようなものをいうのだろう」と、最後の一本を食べきるのが惜しい気がしました。
「ノイフランク」のおいしい食べ方②
<スモークタイプ編>
フランクフルトなどに代表されるスモークのかかった粗挽きソーセージは、噛み応えのある肉の食感と、そのジューシーな肉汁を楽しめるのが魅力です。
パキッといい音とともに皮の中から溢れ出すジューシーな肉汁がたまりません。
スモークしたタイプは皮が厚くなるので、加熱しすぎるとパチンと弾けて破れてしまうのでくれぐれも注意が必要です。これらもボイルするのが正解ですが、一居さんは「餃子を焼くときのように、ウインナーが軽く浸るくらいの湯を加え、蓋をしたフライパンで茹で焼きにした後、水分を飛ばしながら仕上げるのがコツ」と教えてくれました。そうすることで中がふっくら、外の皮はパリッと抜群の状態で仕上がるそうです。
「ノイフランク」さんでは、辛味の効いたスパイシーな風味の「スパニッシュソーセージ」(470円/100g)が人気だそう。
ここでビールという選択肢は外せませんが、あえてワインと合わせるとしたら私は、南米チリなどの果実味溢れた赤ワインとの相性も良いと思いました。
「ノイフランク」のおいしい食べ方③
<焼きソーセージ編>
「ノイ・フランク」さんでは、香ばしい焼き目と食べ応えのある肉感が魅力の「焼きソーセージ」(210円/1本)も人気です。一居さんによればこのタイプは、「焼き網に載せてじっくり焼くのがおすすめ」だそう。
ノンスモークなので皮が破けにくく、フライパンで焼くのもいいですが、ガス火の上で網焼きか、欲を言えばバーベキュー網か、七輪などを使って炭火で焼くと、この上ない贅沢な一皿が完成するといいます。
手軽なのに素敵に食卓を彩る手作りハムやソーセージ。
サンドイッチの具にもなるレバーペーストや、辛味スパイスとライムの風味がアクセントの砂肝のコンフィ、手作りのチリコンカンなども「ノイ・フランク」では販売しています。また、こだわりの生産者の国産チーズなど、気の利いたおつまみも充実しています。
普段使いだけでなく、ホームパーティーのオードヴルや贈答用としても喜ばれること間違いありません。リニューアルした「ノイ・フランク」。東京・国立市で40年愛されているこだわりと納得の味を是非ともご賞味あれ。
※いずれ「ノイ・フランク」さんのおいしい「ソーセージ」のおいしい食べ方教室も開催したいと思います! ご期待ください。
先代の味を受け継ぐ2代目 一居明夫さん
2代目の一居明夫さんは、ソーセージとクラフトビールの組み合わせも提案されています。一居さんはこのお店を継ぐ前は、アウトドア用品の輸入販売の会社に勤めていました。その会社で商品の買い付けで海外に行った際、クラフトビールに出会い、そのおいしさに衝撃を受けたといいます。
喉越し重視の大手メーカーのビールと比べてクラフトビールは、ソーセージと同じで、材料や製法、味わいが実にバラエティ豊か。作り手の個性やこだわりが出やすいのが魅力です。「ノイ・フランク」では、一居さんがセレクトした100種類以上のクラフトビールや小規模生産のナチュラルワインが手に入ります。
大のキャンプ好きの一居さんは、毎年夏の連休には涼しい場所を求め、お店のソーセージとお気に入りのクラフトビールを持ち出して、家族とキャンプに出かけるそうです。
ソーセージもクラフトビールも職人のポリシーが詰まった手作りのもの。これらの個性がマリアージュする体験ができるのもこの店の魅力の1つといえます。
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グルメライター 中村あきこ
グルメライター/日本とフランスの料理学校でフランス料理を学び、帰国後、都内フレンチレストランでサーヴィスに従事。マネージャーやウエディングプランナーを経験。また、料理とワインのマリアージュの素晴らしさに心が奪われた事をきっかけに、JSA認定ソムリエ、シニアソムリエを取得。お店に立つ側と食べる側、両方の視点から感じたものを、素直な言葉で綴り、そのホスピタリティを伝えている。現在は知人の店でヘルプシェフとしてキッチンに立つことも。二児の母。長男の育児中の食の悩みから、幼児食インストラクターを取得。親子で楽しく囲める食卓も日々研究中。
施設名 | ノイ・フランク本店 |
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住所 | 国立市北2丁目11−10 |
TEL | 042-576-4186 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 火曜日・第3水曜日 |
公式サイト | https://www.neufrank.com |
※最新の情報は公式サイトをご確認ください。