こんにちは「グルメライター」の中村あきこです。
いよいよクリスマスや年末年始のシーズンとなりました。とっておきの日には少し贅沢をして、美味しい料理に心地の良いサーヴィス、またロケーションや店内の雰囲気を自分へのご褒美として楽しんでみてはいかがでしょうか?
そんなとっておきの日や、記念日に選ぶお店のジャンルの一つとして挙げられるのは「フランス料理」ではないでしょうか。キャビア、フォワグラなどの高級食材や、高級ワインを楽しむ。フランス料理には、マナーやドレスコードの難しさなどがありますが、最近では、堅苦しいのはちょっと、カジュアルにクリスマスなどハレの日も、カジュアルに過ごしたいという方も多くなってきているようです。
本場フランスでもハレの日には格式のある「Restaurant(レストラン)」を利用しますが、日常的に利用するのは普段着で気軽に入れる「Bistro(ビストロ)」と使いわけます。どちらもフランス料理であることに変わりはなく、日本料理に例えると、料亭と居酒屋の違いのようなものといってもいいでしょう。日本料理同様、フランス料理もそのシチュエーションに合わせて使い分けてみると、お店選びがますます楽しなります。
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今回取材させていただいたのは、立川の人気スポット「GREEN SPRINGS」内にある、「フレンチタパスとナチュラルワイン S・E・C(セック)」さん。ここは気軽なビストロのような雰囲気と価格設定の中、気遣いのあるサービスと丁寧に作られた料理は、レストランのように洗練されていて、プチ贅沢なフランス料理を楽しむことができます。
フランス料理の新ジャンル
小皿で楽しむ『フレンチタパス』を提供
自然と建物が融合するこのGREEN SPRINGSの雰囲気にとてもマッチする、ガラス張りの店内は温かみのある柔らかな照明がゆらめいています。
「いらっしゃいませ」とにこやかに出迎えてくれるスタッフに案内され店内へ。ランチタイムの店内はとても活気があります。
運営するのは、「普段着でフレンチを」というコンセプトのもと、立川駅南口にフレンチレストラン「ビストロフラット」を開店。立川駅北口にある鴨とナチュラルワインの店「テパトモカ」、また同じ「GREEN SPRINGS内」の「ドラゴンフライバー」などを運営する『ソーシャルエピセ株式会社』(立川市)。
その中で2022年にオープンした「S・E・C(セック)」は、同社初の大型店舗です。
「SEASON(シーズン)」=季節や旬を大切に、
「ESSENCE(エッセンス)」=本質を捉えて、
「CRAFT(クラフト)」=創り上げる、というコンセプトの頭文字をとって店名としたそうです。
「タパス」とは、スペイン発祥の居酒屋(バル)などで出される小皿料理のことで、
「フレンチはジャンルに捉われず、もっと気軽に楽しんで欲しい」という思いが込められています。
メニューを見てみるとタパスをはじめとするアラカルトメニューが充実しています。「自家製ベーコンと黒オリーブ、アンチョビなどで仕上げるオリジナルのポテトサラダ」「鶏の白レバームース」「キャロットラペ」などワインに合う気の利いたフレンチのおつまみ惣菜が充実、値段も330円~とリーズナブルにフランス料理が楽しめます。
フランスやスペインなどの厳選された種類豊富な生ハムを、専用のスライサーで塊から擦ってサーブしてもらえるサービス(770円~)があり。すでにこの店の名物になっているそうです。
さらにはチーズプロフェッショナル厳選のチーズを少しずつ楽しめる盛り合わせのプレートなど、気軽に本物の味を楽しむことができます。これらは営業時間内のいつでもオーダーできるので、自分に合わせた量やタイミングで食事ができるのが嬉しいこの店ならではのスタイルです。
フレンチの魅力がしっかり
楽しめるコースも用意
もちろんカジュアルな「フレンチタパス」以外に、コース料理も用意されています。前菜から始まり、メインディッシュ、デザートへとまるで一つの物語のように、ワクワクや感動と共に進んでいくコース料理こそまさにフレンチの醍醐味といえます。
ランチタイムは、日替わり生パスタランチと、店名の頭文字が付けられた「S」、「E」、「C」3種のコースがランチセットとして用意されています。この店の名物料理が組み込まれたスタンダードコースや、時間をかけてゆっくり楽しみたいフルコースなど、四季ごとにメニューも更新し、常に新しい発見と驚きに出会えます。
例えば取材時のメニューを紹介してみましょう。
この日は「不動の人気を誇る厚切りサーモンのスタンダードランチセットE」(2,500円)をチョイス。フルーティーで爽やかな味わいのスプマンテを一口いただき、色鮮やかで風味豊かな前菜からスタートです。
この日の前菜は、色鮮やかで見た目も楽しいオードブル3種。シャドークイーンという紫色のジャガイモや牛蒡、人参などの根菜がカラフルに敷き詰められた旬の野菜のテリーヌや、蛸と鰤のカルパッチョ、ポートワインと蜂蜜の甘いソースが添えられたフォワグラのムースが盛り合わせになっています。
一つ一つのお料理ごとに味わいのアクセントがあるのが楽しく、蛸のカルパッチョのスモーキーな香りや、フォワグラに添えられた甘いソースに黒胡椒のスパイシーさが加わるなど、舌の上で楽しませる工夫がされています。
また各店舗で働くソーシャルエピセグループの社員が交代で、近くのシェア畑で野菜やハーブを育てているそうで、お料理に採れたての旬の彩りを添えています。
ムースやテリーヌといった伝統的なフランス料理でありながらも、工夫の凝らされたシェフの遊び心が溢れる一皿です。
お料理に合わせるドリンクも種類豊富で、ハーブや果物を生のままシロップ漬けにした自家製コーディアルドリンクや、ノンアルコールカクテル、といったお酒が飲めない方にも楽しんでもらえるドリンクが充実。またソムリエ厳選の数々のワインがグラスで注文できるなど、ホテルやバーで経験を積んだスタッフの様々なアイデアが随所に活かされています。
1号店の「ビストロ フラット」がオープンした12年前の立川には、気軽に入れるビストロはほとんどなく、フレンチは高級で特別感のあるイメージが強かったそうです。
そこで当時の立ち上げメンバーである、現在の会社の代表たちがテーマとして掲げた「普段着でフレンチを」という店づくり。「会社全体の理念として『~日常以上 特別未満~』を大切にしています」と、話すのは「ビストロフラット」でのサーヴィス経験もあるマネージャーの中根康平さん。
「とにかくカジュアルにお店に来ていただきたい。ここで普段味わえないお料理や雰囲気を体験してもらって、普段の中にスッと入ってくるような、自然体のいい時間を過ごして欲しい」と語ってくれました。そんな想いは、お料理ひとつひとつを大切にサーヴする姿からも感じられました。
タパスメニューに代表されるように、気軽な雰囲気や価格帯など、気負わないカジュアルなお店ではあるものの、その味はパテやテリーヌといったクラシックなお料理から、今回ご紹介したお料理のようにシェフの遊び心あふれるものまで本物。メニューブックを広げるとその種類の多さに圧倒されます。
旬を大切にした素材や、珍しい食材、丁寧に一から作られるソース、スタッフ自ら育てる野菜やハーブ。手作りのコーディアルドリンクやオーガニックのジュース、ナチュラルワインなど随所にこだわりがあるドリンク。ここでしか味わえないものに出会えます。
クリスマスや年末年始。大切な人とディナーコースにワインを傾けるも、気の置けない仲間たちや家族でアラカルト料理を気軽にワイワイするも良し。どんなシチュエーションでも楽しめる素敵な時間がここでは過ごせそうです。
緑が豊富でゆったりした時間が流れる「GREEN SPRINGS」の中にある、フランス料理の店「S・E・C」で、カジュアルにフレンチタパスとナチュラルワインを楽しむ「特別すぎない非日常」をぜひあなたも体験してみてください。
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グルメライター 中村あきこ
グルメライター/日本とフランスの料理学校でフランス料理を学び、帰国後、都内フレンチレストランでサーヴィスに従事。マネージャーやウエディングプランナーを経験。また、料理とワインのマリアージュの素晴らしさに心が奪われた事をきっかけに、JSA認定ソムリエ、シニアソムリエを取得。お店に立つ側と食べる側、両方の視点から感じたものを、素直な言葉で綴り、そのホスピタリティを伝えている。現在は知人の店でヘルプシェフとしてキッチンに立つことも。二児の母。長男の育児中の食の悩みから、幼児食インストラクターを取得。親子で楽しく囲める食卓も日々研究中。
施設名 | フレンチタパスとナチュラルワイン S・E・C(セック) |
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住所 | 東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS 2階 E1 203 |
TEL | 042-519-3560 |
営業時間 | 11:00~22:00 |
定休日 | 施設の定休日に準ずる |
公式サイト | https://sec.social-epice.com/ |
※最新の情報は公式サイトをご確認ください。