武蔵御嶽神社や、神主が営む宿坊が点在する御岳山。神社や宿坊に足を運ぶ講の姿から、古くよりこの地に定着した信仰の姿が見られます。宿坊のひとつ、駒鳥山荘の御師を務めるのが馬場慶太郎さん。長男の馬場さんは世襲制に違和感を持ち「ずっと迷いがあった」と話します。転機となったのは御岳を離れた大学時代。「神職を志す友人と話したり、神道を学んだりするうちに、御師や講の文化が残る御岳山の信仰は、関東一円でも歴史ある言伝だと気づきました」。重みが誇りに変わった瞬間でした。

　渓谷美が広がる御岳渓谷や軽登山に最適な御岳山を求めて、御岳には季節を問わず多くの観光客が訪れます。ただ、BBQや川遊びをした人が残す放置ゴミなどが問題となっています。柴田さんは少しずつゴミを拾いはじめ、いつしか週明け早朝のリバークリーンが習慣になりました。

　総面積の約9割が森林の檜原村は、かつて林業が盛んな地域でした。時代とともに林業が衰退する中、「人工林は手入れしないと成り立ちません。誰かが守らないといけない」と誕生したのが東京チェンソーズです。森林内の木を間引く「間伐」によって、地面に太陽光が届いて下草が生え、生物が集まり、木が生長します。

　「ご先祖のお墓までの道のりに彩りを加えたかった」。南澤さんは約50年前に植えた2株を約1万株にまでに育て、里山全体を埋め尽くすほどに。南沢あじさい山は都の観光資源にも認定され、市内外の人から愛されています。「今後は若い人が花を守ってくれれば」と笑顔で話します。