【東大和市】郷土系手打ち生パスタやジビエ豊富なドルチェが魅力のトラットリア「Coloritura(コロリトゥーラ)」 | イマタマ

【東大和市】郷土系手打ち生パスタやジビエ豊富なドルチェが魅力のトラットリア「Coloritura(コロリトゥーラ)」

2024/12/20

こんにちは、イマタマグルメ ライターの中村あきこです。

南ヨーロッパに位置し、地中海に向かって南北に長細く伸びる国イタリアは、20の州に分かれていますが、その州それぞれの食文化が非常に豊かでバラエティーに富んでいます。イタリア料理として真っ先に思い浮かぶボロネーゼやカルボナーラ、マルゲリータやマリナーラといったパスタやピザは、もともとイタリアの一部の地域の名物料理や郷土料理が発祥であるのはご存じですか?

例えばヨーロッパアルプスの裾野に広がるピエモンテ州や、ロンバルディーア州など北部の山麓地帯は酪農が中心であるため、オリーブオイルよりもバターや生クリームを使った料理が多いのです。また、ジビエなどの野鳥獣を使った煮込み料理などもポピュラーで、隣接するドイツやオーストリア、フランスの食文化の影響を受けています。

地方色豊かなイタリア料理を一言で語ることは難しく、ましてやイタリア20州をすべて訪れ数ある郷土料理を知るのは夢のような話です(もちろんいつか行ってみたいとは思いますが)。しかしながら、ここ多摩地域にも多くの魅力的なイタリア料理店があり、イタリアのさまざまな地域で修業された経験を持つシェフがたくさんいらっしゃいます。そんなお店に足を運んで、そのシェフの思い入れのある郷土料理を楽しむと、イタリア料理の世界をもっと深く知ることができるのではないでしょうか。

今回取材をしたのは、西武鉄道拝島線の東大和市駅近くにあるグルメファンも注目する小さなトラットリア。普段使いの気軽な雰囲気でいただく、彩り豊かで味わい深いイタリアン惣菜と、本格的な手打ち生パスタや、ジビエ肉、また農家直送のとれたて野菜の美味しさを生かしたメニューも楽しめる『コロリトゥーラ』さんをご紹介いたします。

気軽でありながらもガストロノミーな料理が
愉しめるトラットリア

2024年11月末に商業施設『Licopa』がオープンするなど、新たに賑わいを見せている東大和市は、埼玉県と東京都の県境に広がる自然豊かな狭山丘陵に位置しながらも、西武拝島線 東大和市駅から、西武新宿駅までは直通で約35分というアクセスの良さも魅力の街です。その駅前から歩いて約5分。市民音楽ホールに続く「ハミングロード」という道に差し掛かる手前に、地元のグルメファンから注目される小さなトラットリアがあります。

見上げると「Coloritura(コロリトゥーラ)」と店名が書かれたグリーンの看板が一際目立ちます。「Coloritura」とはイタリア語で「彩る」という意味で、「季節の食材でお客様の食卓を彩りたい」。そんなシェフの想いが込められています。

「TRATTORIA(トラットリア)」はリストランテよりも気軽に楽しめる、大衆的な食堂のこと。また「ROSTICCERIA(ロティスチェリア)」はお惣菜を意味するイタリア語

2022年11月にオープンした同店の料理を全て一人で手がけるのは、オーナーシェフの清川勇次(きよかわ ゆうじ)さん。清川シェフは、次世代の才能を発掘する料理人コンペティション「RED U-35」2024年大会でのBRONZE EGGの受賞や、同年にGCC主催の全国イタリア料理コンクールでベスト8に入賞するなど、料理人として栄誉あるコンクールに積極的にチャレンジし、実績を残されています。

また地元の子供達への食育活動にも意欲的で、農業体験のイベントで料理を提供したり、市民向けの料理教室なども経験。なんと地元の小学校の給食に、清川さんの考案したレシピを元にしたメニューが登場したこともあったそうです。

庶民的でどこか懐かしいトラットリアの雰囲気をうまく演出している店内は全部で12席

ランチタイムは、イタリア マンマの味の定番、ラザニアを含む、3種類のパスタ料理から選べるデイリーなランチセット(自家製フォカッチャ・サラダ・食後のドリンク付き1540円 税込~)や、気軽に楽しめるコース(2200円 税込)がいただけます。とれたて新鮮な野菜をふんだんに使ったサラダやパスタは、お値段以上の満足感。じんわりと体に染み渡るような飽きのこない優しい味にリピートするファンも多いようです。お客様が楽しげに会話し、賑わう様子はまるでイタリアの街角の大衆食堂『トラットリア』の雰囲気そのもの。

黒板にずらりと書かれた季節のおすすめのアラカルトには、国産食材の産地が明記され、そのクオリティーの高さに驚きます

落ち着いた雰囲気で過ごせるディナータイムは、定番のアラカルトメニューに加え、季節のおすすめアラカルトや、シェフのおまかせコース(2750円・3850円税込)が用意されています。特に注目していただきたいのが黒板に書かれた「おすすめメニュー」。旬の具材を入れ込んだラビオリや、野菜のピュレを練り込んだタリアテッレ、オレッキエッテなどの変わった形の手作りショートパスタが、それぞれ相性の良い旬の具材やソースと合わせられていて、どれも興味惹かれるものばかり。冬のこの時期は但馬の鹿肉や、丹波猪肉や穴熊など数々のジビエが入荷するそうで、それらを煮込みや、ローストなどの調理法でいただけます。

これはラビオリの仲間「カッペラッチ」エミリア・ロマーニャ州の郷土パスタ。リコッタチーズや旬の野菜などを詰めるそう。一つ一つ丁寧に手作りされます

清川シェフが信頼を寄せる農家の採れたての新鮮な野菜が楽しめるのも魅力の一つです。都心の有名シェフもその味を求めて買いに来るという、江戸時代から続く国分寺の「小坂農園」の野菜や、農業体験など食育に積極的に取り組み、料理人にも定評がある生産者、東大和市「橋本農園」の野菜が彩り豊かに登場します。サラダや付け合わせなどでは、そのままの美味しさを味わってもらうため、あえてシンプルに提供されています。

サラダに混ぜ込まれているベビーリーフ(間引き菜)ですらちゃんとその野菜の種類の味がするので驚いてしまいます。修業時代からシェフの代わりに畑へ出向くことも多かったという清川シェフの野菜の目利きは確かなもの。「ここの野菜に出会ってから、苦手だった野菜を美味しいと感じるようになったんですよ」と話します。

普段からお客様との会話を大切にし、相談しながらおすすめすることも多いそう。
「リクエストがあれば次回に食材を取り寄せてご用意することもありますよ」と清川シェフ

「食べた瞬間ほっとする」そんな優しさ溢れる
家庭的なイタリア料理を目指して

今回のお料理は事前にシェフと相談し、この時期ならではのジビエ肉を使ったパスタやメインディッシュを旬のスタイルでいただくことにしました。食前酒のスパークリングワインを味わいながら、彩り豊かな「コロリトゥーラ」の5種類のイタリアン惣菜をいただける「アンティパスト・ミスト」をいただきました。アンティパストは「お料理の前の=前菜」という意味があり、ミストは「ミックス=盛り合わせ」の意味。本場イタリアでは食前酒を飲みながらお料理が出来上がるのをゆっくり待つための定番の一皿です。

優しい甘さの地元産のさつまいもの薄切りを、卵と生クリームの生地に重ねて層にしたフランや、カリカリに焼き上げたバゲットに塗られた鶏レバーのクロスティーニ、トマトの甘さをしっかり引き出し煮込んだカポナータなど、一つ一つ丁寧に手作りされています。イタリアの定番のお惣菜やシェフオリジナル料理が一度に楽しめる贅沢な一皿です。

他にもデミタスカップに入った濃厚なコクのバターナッツかぼちゃのポタージュや、カルパッチョにはカツオの藁焼き、洋梨とゴルゴンゾーラのムースの上にリンゴとハイビスカスのジャムがのった独創的な一品も

アンティパストをゆっくり堪能した後に登場するプリモ・ピアット(一皿目のお料理)は、兵庫県丹波篠山の猪の頬肉を、赤ワインや香味野菜で煮込んだラグー。それを栗の粉を練り込んだ太い帯状の「ピカッジェ」というパスタに絡めた一皿。猪肉の脂が甘く噛めば噛むほどに旨味が口いっぱいに広がります。食べ応えのあるこのパスタとの相性は抜群です。アクセントの栗も猪肉によく合います。

「ピカッジェ」は~エプロンの紐~という意味なのだそう。イタリア リグーリア州の郷土料理で、栗粉を練り込むのがポピュラー

セコンド・ピアット(二皿目のお料理=メインディッシュ)は、丁寧にローストされた、兵庫県但馬の鹿の内もも肉。とっても柔らかくて繊細な味わいに感動です。また名脇役たちの存在も見逃せません。ヨーロッパの秋の味覚ジロール茸や、皮付きで調理された里芋、また晩秋から冬にかけて旬を迎えるチーマ・ディ・ラーパという菜花に似たイタリア野菜がごろっとシンプルに添えられています。またお肉の下に敷かれた白菜のソテーがその旨みをたっぷりと吸い込んでいて、脇役ながらも主役級の存在感です。旬の野菜とジビエを思う存分堪能できる一皿は、おすすめの赤ワインと合わせるとさらに美味しさが引き立ちます。

ドイツでの農業の経験を持つ生産者が作る「小坂農園」のヨーロッパ野菜はミシュランのスターシェフも注目している一級品野菜なのだそう

16歳から料理の道に進んだ清川シェフは、国分寺市にある人気のイタリアン「トラットリア・カレラ」で修業時代の多くを過ごします。家族経営のアットホームな雰囲気の中、フロアのサービスから、仕込みや賄いなど、コツコツと下積みから学んで行ったそう。「コロリトゥーラ」の内装や、シェフのユニフォームには「トラットリア・カレラ」へのオマージュが込められています。

ユニフォームの左肩部分には「トラットリア・カレラ」のロゴが。修業した店のロゴをコックコートやユニフォームに入れるのがイタリアのシェフたちの中でのトレンドなのだそう

清川シェフは、独立までの十数年間、都心のリストランテや本場イタリアでも修業。イタリアの地方へ出向き郷土料理を学ぶなど研鑽を積まれたそう。休みの日は昼と夜にレストランを予約し、食べ歩きをしていたという勉強熱心なエピソードも。そんな修業時代、慣れない環境のイタリアで出会ったポモドーロ(シンプルなトマトソース)のパスタを食べた時に、とてもほっとしたのだそうです。そんな体験が、イタリア料理を深く知るきっかけとなり、「気をてらわず、素材を生かした食べてほっとする料理を提供したい」と考える清川シェフの「イタリア料理のスタイル」につながっていると言います。

家庭的で親しみやすいトラットリアの雰囲気で、センスある食材のチョイスや、手間暇かけたお料理の数々を楽しめる「コロリトゥーラ」にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

店の奥に飾られたイタリアでの記録を残した写真は、今の料理に生かされていて、たくさんの思い出が詰まっています
修業時代に従事したパティシエ出身のシェフから学んだという魅力的なドルチェは、お腹いっぱいでも別腹で食べたくなってしまいます

グルメライター 中村あきこ 

グルメライター/日本とフランスの料理学校でフランス料理を学び、帰国後、都内フレンチレストランでサーヴィスに従事。マネージャーやウエディングプランナーを経験。また、料理とワインのマリアージュの素晴らしさに心が奪われた事をきっかけに、JSA認定ソムリエ、シニアソムリエを取得。お店に立つ側と食べる側、両方の視点から感じたものを、素直な言葉で綴り、そのホスピタリティを伝えている。現在は知人の店でヘルプシェフとしてキッチンに立つことも。二児の母。長男の育児中の食の悩みから、幼児食インストラクターを取得。親子で楽しく囲める食卓も日々研究中。

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DATA

施設名 Coloritura(コロリトゥーラ)
住所東大和市南街5丁目66-13
TEL042-508-2056
営業時間ランチ 11:30~15:00(14:30L.O)
ディナー 17:30~21:30(21:00L.O)
定休日日・祝日・月ディナータイム
(詳しくはホームページにてお知らせ)
公式サイトhttps://coloritura.my.canva.site/

※最新の情報は公式サイトをご確認ください。



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