ヨーロッパセレブ御用達のリゾート地 サルディーニャ島の料理とワインをカウンター席で味わえる地中海料理『イクノス』 | イマタマ

ヨーロッパセレブ御用達のリゾート地 サルディーニャ島の料理とワインをカウンター席で味わえる地中海料理『イクノス』

2024/05/23

こんにちは「グルメライター」の中村あきこです。

ゴールデンウィークという名のプチヴァカンスが終わり、楽しいひと時から現実へ戻されるこの時期は、五月病などとも言われる体の不調や倦怠感に辛さを感じる方も多いのではないでしょうか。

こんな時私は「次の休みにどこへ出かけようかな」「そこで何を食べようかな」などと考えたり、夏休みに向けての旅行の計画を立て始めるべく観光地のウェブサイトを覗いてみるなどしながら憂鬱なこの時期を乗り切っています。

さて、心と体のリフレッシュのための長期休暇「Vacances(ヴァカンス)」とはフランス語。フランスをはじめヨーロッパでは、夏のヴァカンスには地中海の美しいビーチや島で過ごす人が多いそうです。

地中海は、西側はスペインとモロッコの間のジブラルタル海峡で大西洋に接し、東側はシリアまで伸び、北側のヨーロッパ大陸と、南側のアフリカ大陸に挟まれた、美しい海に多くの島々が浮かぶ世界有数のリゾート地です。

その中でも最大面積のシチリア島をはじめとし、世界遺産のアマルフィー海岸や、青の洞窟で知られるカプリ島などは、日本でも人気の観光エリアです。

またこの地域特有の気候で育つ、オリーブ、豆類、スパイスやハーブ、果物などの作物。豊富な魚介類などを取り入れた、この土地の伝統的な食事様式(地中海食)も有名です。

今回は、その地中海で二番目に大きい島であり、ヨーロッパのセレブたちに人気の観光スポット。イタリア サルディーニャ島の料理を提供する、「地中海料理 イクノス」さんをご紹介。オーナーシェフとの会話も楽しい、10坪8席のカウンターキッチンの店内で、本場仕込みの郷土料理を、その土地のワインと共にいただきます。

毎朝市場から仕入れる新鮮な食材で現地の味を再現

JR武蔵野線 府中本町駅から府中街道を市役所方面、宮西町。大通りから一本入った裏路地にひっそりと佇む隠れ家イタリアン

「地中海料理 イノクス」がある府中宮西町は「くらやみ祭り」で有名な大國魂神社があり、古くから宿場町として栄えていたそうです。旧甲州街道沿いには、昔のままの造り酒屋の建物や、都の指定文化財である江戸時代の高札場などがあり、まずは街歩きを楽しみながらお店へと向かいます。

店名の「イクノス」とはイタリアのサルディーニャ島の昔の呼び方だそうで、ギリシャ神話の神様の名前に由来するとか。地中海の旧市街をイメージさせるようなアプローチにワクワクしながらお店の扉を開けると、白い壁に囲まれた店内にわずか8席ながらもゆったりとくつろげるカウンターキッチン。落ち着いた大人の空間に期待値が一気に上がります。

ワンオペスタイルなのでシェフが自ら料理の説明をしてサーヴくれるのが嬉しい。その日のおすすめを伺いながらメニューを選びます

シェフが毎朝、東久留米の卸売市場で買い付けた、魚、肉、野菜、チーズなどを使ったアラカルトメニューが日替わりで用意されます。

この日は、水なすや紫アスパラガス、江戸前穴子など旬の食材を取り入れた、冷菜6種類に温菜が9種類、パスタが5種類とどれも興味惹かれるものばかりです。

まずは地中海といえば新鮮な海の幸のイメージから「魚介類の盛り合わせ」をチョイスしました

中でも魚介の一皿は、新鮮さが一瞬でわかるその見た目にまずは感動してしまいます。一口いただくたびに素材の旨みと、調理されて更に引き立てられた奥深い味わいが口いっぱいに広がります。

一品一品の素材を活かす手仕事が素晴らしく、柔らかく茹でられた蛸の食感や、その日にワインヴィネガーで締めているという程よく浸みた酸味が優しい鰯のマリネや、皮目を香ばしく炙った金目鯛のカルパッチョなどの新鮮な魚介のオードブルに加え、珍しいサルディーニャの郷土料理の一つである『アリアータ』が添えられていました。

『アリアータ』とはサルディーニャ島の港町アルゲーロの名物料理だそうで、ドライトマトやニンニクを使ったソースのようなもので各家庭に必ず常備されている調味料の一つなのだそう。

「韓国のキムチのような存在ですよ」とシェフが教えてくださりなんとなくイメージが掴めましたが馴染みのないソースに興味津々。

地元では茹でたタコに絡めたりするそうですが、この日は茹でたカスベ(エイの仲間)のほぐし身と合わせたそうで、『パーネ・カラサウ』という島の伝統的な、セモリナ粉の薄いパンと一緒にいただきます。

こちらがサルディーニャ島の遊牧民がセモリナ粉を薄く焼いて食料として持ち運んでいた『パーネ・カラサウ』日本では珍しい食材です
せっかくなのでサルディーニャ島のワインに合わせてみたいのでシェフに相談。こんなやり取りができるのもカウンター席の特権

魚介の盛り合わせに合わせたワインはサルディーニャの土着品種「Nuragus(ヌラーグス)」という種類のブドウで造られた白ワイン。地中海をイメージするトロピカルフルーツのような香りと穏やかな酸味が、特に鰯のマリネと相性良く、お互いの旨みを引き立て合うマリアージュを楽しむことができました。

赤ワインもサルディーニャをはじめ地中海の島の土着ブドウ品種が多く揃い、お料理に見事にマッチします

食事の後はチーズや食後酒でまったりと楽しむ

イタリア サルディーニャ島の北西にある港町。アルゲーロの名店「Al Tuguri(アルトゥグーリ)」で3年修業された、浅見耕資(あさみこうすけ)さんがこちらのお店のオーナーシェフ。

大学卒業後、都内のイタリアンで修業し始めたのち、本場を見てみたいとの思いから、単身イタリアへと向かったのは今から20年前だそう。

こぢんまりとした隠れ家のような店が点在する府中市宮西町で「イクノス」は2013年にオープン。本場仕込みの浅見シェフのお料理にファンも多いよう

「日本ではあまり知られていませんが、サルディーニャ島はヨーロッパでは人気の観光スポットなんですよ」と浅見シェフ。夏には世界中から観光客が訪れるその島の広さは、なんと四国くらいあるそうで、そこには数々の食文化が存在します。

ポルケッタとはイタリア語で「豚の丸焼き」を意味する言葉なのだそう。豚バラ肉をクルクル巻いてローストしたものカリカリに焼かれた皮目が香ばしくハーブの香りが心地よい一皿

「港町のアルゲーロはイセエビ料理が有名です、日本のものと比べて味が濃いんですよ」と観光ガイドには載っていないような現地の名物料理の話を伺いながら、続いてメイン料理をいただきます。「島のお祭りの時には豚の丸焼きを食べるのが習慣なんです」とその日におすすめいただいたのは、豚バラ肉を巻いてローストして作るポルケッタという料理。

地中海の真ん中、ギリシャ産山羊のチーズ「フェタチーズのムースとひよこ豆のクレープ」はチーズの塩気が程よく、この地方のワインにとってもよく合う一皿です

こちら「地中海料理 イクノス」はお店の開店時間が15時からなので、ちょっと早めの時間でもディナーをいただくことができます。お食事の後、デザートやエスプレッソで締めくくるのももちろんですが、ぜひここは現地で過ごすような気分で、この店ならではの食後酒まで楽しんでいただきたいものです。

イタリアの代表的な食後酒の『スウィートヴェルモット』や、地中海サルディーニャ島やコルシカ島に自生する植物の実から作られる『ミルト』という食後酒など、珍しいものも揃っているので、「最後にもう少し呑みたいな」という時には、ぜひ試してみてください。

レモンの酸味とほろ苦さとローズマリーなどのハーブの爽快さが食後にぴったり。ちょっと珍しいヴェルモットビアンコで食事の余韻を楽しみます
こちらが「ミルト」というサルディーニャではトラディショナルな食後酒。現地ではバニラアイスに翔こともあるそう。凝縮されたベリーのような甘さのお酒

お料理はコースでなく全てアラカルトなので、たとえば前菜とパスタ、メインディッシュというコースのような組み合わせや、タパスのように好みの前菜をチョイスしてワインと合わせるなど、自分好みの楽しみ方で食事ができます。
一皿あたりのお値段は平均2,000円くらいですが、全て2人前くらいのボリュームです。

「お一人でご来店の際はボリュームの調整することもできますよ」と浅見シェフからのアドバイスも。今日の取材での食事も一人前の量に調整してくださいました。
そんなちょっとしたシェフの気遣いや、マニュアルのないサーヴィスなども、対面式のカウンターレストランならではの楽しみ方がここにはあります。

地中海に浮かぶ島を思いながらいただく時間はまさに束の間のヴァカンス。府中市宮西町の裏路地の隠れ家「イクノス」へぜひお出かけしてみてください。

グルメライター 中村あきこ 

グルメライター/日本とフランスの料理学校でフランス料理を学び、帰国後、都内フレンチレストランでサーヴィスに従事。マネージャーやウエディングプランナーを経験。また、料理とワインのマリアージュの素晴らしさに心が奪われた事をきっかけに、JSA認定ソムリエ、シニアソムリエを取得。お店に立つ側と食べる側、両方の視点から感じたものを、素直な言葉で綴り、そのホスピタリティを伝えている。現在は知人の店でヘルプシェフとしてキッチンに立つことも。二児の母。長男の育児中の食の悩みから、幼児食インストラクターを取得。親子で楽しく囲める食卓も日々研究中。

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DATA

施設名 地中海料理 イクノス
住所府中市宮西町4-3-2
TEL042-302-5020
営業時間15:00~22:00
定休日日曜
公式サイトhttps://www.instagram.com/ichnos.fuchu/
備考言語対応:日本語、英語、イタリア語

メニュー表記:日本語

※お支払いは現金払いのみ。注意ください。

※最新の情報は公式サイトをご確認ください。



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